讃岐うどん遍路

うどん天国 空前ブームの深層

6.波及効果

案内ビジネス花盛り陣

「さぬきうどん探検バス」の利用客は四国外が80%を占めている=善通寺市内
「さぬきうどん探検バス」の利用客は四国外が80%を占めている=善通寺市内

 「おいしい讃岐うどんの店を案内してくれる?」

 タクシーに乗り込んだ客はJR高松駅から綾上町の山越に向かう。遠くは琴南町の谷川米穀店まで走ることもある。

 乗客の減少にあえいでいた県内のタクシー業界に、うどん目当ての県外客がちょっとした「特需」をもたらしている。

 高松市の平井タクシーでは二〇〇二年春、うどん店の案内を頼む県外客が増え始めた。「乗務員のうんちくも楽しんでもらえたら、新サービスになる」。同社はうどんの作り方から歴史まで乗務員に学ばせた。

 ホテルや観光案内所から紹介を受けたり、乗客から直接電話が入ったり、平均月三、四件の利用がある。十一月の「スポレク香川2003」の期間中にも数件のお呼びが掛かった。

 高松タクシー協会は独自にうどんドライバーの認定制度を設けた。有名店が数多い中讃でも業界の試みは活発で、うどんタクシーは一気に増える勢いだ。

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 人気の高いうどん店ほど場所を見つけにくく、注文方法も店ごとに違うため、初めての客は戸惑うことが多い。そこで、うどんブームに伴い"案内ビジネス"が広がっている。

 JR四国は昨年九月から、「さぬきうどん探検バス」の運行を始めた。JRの駅を発着し、一日に四軒のうどん店を巡るだけの内容。「これでいけるか」。営業担当者の不安は杞憂(きゆう)に終わった。

 今年六月までの計三十七回の利用客は約千五百人と定員いっぱい。岡山や京阪神を中心に四国外の申し込みが80%を占め、首都圏からも目立つ。年内まで実施中の第三弾も、五十回で約千五百人と人気は衰えず、同社は来年も運行を継続していく計画だ。

 十一月下旬から、県内の書店ではレジに近い位置に二種類のうどんガイド本が平積みされている。

 ブームの仕掛け役だったホットカプセル(高松市)は「さぬきうどん全店制覇攻略本」の〇四年度版を出版。「まだブームは続き、安定して売れている」。東京や京阪神の大手書店での販売も定着し、インターネットの注文は首都圏が多い。

 ナイスタウン出版(同)は「地元うどん通をうならせたさぬきうどん決定録」を発売した。同社がうどん本を取り扱うのは初めて。「県外の雑誌などの取材が続いているし、地元ならではの本を一度は、と」。

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 県内各地の讃岐うどん店をめぐる「ツーリズム」は観光面の貢献も大きい。

 JTBは昨秋から今春にかけて、手打ち体験などを盛り込んだツアーを首都圏で売り出した。「大ヒットとはいかなかったが、香川への観光の関心は春以降も高い」(広報室)。

 十一月下旬の三連休、琴平町の旅館、ホテルは大にぎわいだった。ある経営者は「目を見張るほど恩恵があるわけではないけど、やっぱり一部に効果が出ているのかな」と推測する。

 県観光協会の調べでは、〇二年の香川の観光地への入り込み客数は四年ぶりに増えた。ただし四国運輸局のまとめでは、同年度は減少と結果が分かれ、うどん効果は未知数だ。

 「宿泊は道後温泉で、などと素通りは困る」と高松市内のホテル経営者は語る。実際、うどんだけを目的に観光地に寄らない人が、特に若い世代に多い。

 県観光協会長の梅原利之JR四国社長は「うどんを食べにくる客がお金を落とさないというのは一面的な見方。重要なのは香川の知名度が上がったこと。後は周囲がどう盛り上げるかがカギ」と話す。

 熱の冷めないうどん人気と、それにあやかったビジネスの相乗作用が働けば、うどんブームの腰はもっと強くなる。

(2003年12月7日掲載)

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