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うどん県クロニクル(年代記)第1章・それだけじゃない香川県(7)へらこいの極意 「ふうが悪い」のはタブー

2017/03/11

人気の手打ちうどん体験講座。うどん食いの極意も必修科目になるか?(中野うどん学校、資料)人気の手打ちうどん体験講座。うどん食いの極意も必修科目になるか?(中野うどん学校、資料)

 へらこい談義は一段落のつもりだったが、雑音が多いのでもう一言。いわく、いくらほめられてもプラス評価できない、カッコ悪い、という。
 では、その極意をうどん屋の風景で説明する。

 普通の火曜日。高松有数のセルフうどん店。時間は午後1時。官庁街の客が引き上げ、店員さんもひと息の時間帯だ。

 暖簾(のれん)をくぐると見たこともないほどの混みっぷり。見渡せば15人ほどの若者グループが中央テーブルに陣取って歓談している。すでに食べ終えているようだが、だれも立ち上がろうとしない。

 彼らの周囲ではイス取りゲームに敗れた常連客が右往左往しているが、目に入らないようだ。この種の振る舞いを讃岐では「ふ(う)が悪い」と呼んで忌み嫌う。

 へらこいの極意を身につけた讃岐人はこんなマネはしない。本物のうどん食いは静かに列に並んで「かけ小、天2」と手短に注文し、チャリンと代金を払って、ササッと席につき、ズズーッと味わい、サササーッと店を出る。チャリササズズサーッで約10分。

 おかげで「うまくて安くて早い」讃岐うどんが成立する。客の回転率が下がれば、コストに影響し、やがて値段は上がり、うどんはのびる。

 そんなことはお店の勝手、こっちはお金払ってんだよ、なんて子どもじみたことは言わない。優れた客がいて優れた讃岐うどんが誕生することを讃岐人は知っている。

 美しい讃岐人は計算高くて機敏で大胆だが、周囲への気配りは忘れない。うどん屋での長居などもってのほかだ。

 ネギや天かすなど無料のトッピングもぶざまに盛り上げたりしない。彼らはどんぶり鉢の中の完璧な調和を目指し、全知全能を傾けて、自分の小宇宙を作り上げる。

 店を出る時も「釣りはいらねえ」なんてバカなことは言わないが、忙しい店主に声などかけず、小声でそっと「ごちそうさん」とつぶやいて足早に立ち去る。満足したかどうかは明日、分かる。

 へらこいとは単に「吝嗇(りんしょく)」や「賢(さか)しら」のことではない。その語源に従えば「すべての関係者が満足できる結論を模索する知恵」のことだ。

 第1級のへらこいに不可欠なのは「他者への配慮」だが、これだけではまだ極意には届かない。最後のひと味は「土地へのこだわり」だ。

 不都合になると逃げ出す漂流者の「旅の恥はかき捨て」行動は軽蔑される。土地と他者への愛のない「へらこい」はやがて欲望のモンスターになることを真の讃岐人は知っている。(明石安哲)

メモ
 【うどん客の滞留時間】飲食店客の滞留時間は店舗形式でかなり違う。ある調査によるとファミレスは55分前後、家族や団体、会食用レストランでは2時間以内に制限する店もある。うどん店は給仕付きで20分、セルフ店で10分が一般的で、県内セルフ店の昼の繁忙帯の実質飲食時間は7分前後とも。近年はスマホ普及などで滞留時間が延びる傾向にあるという。


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