「五輪コラム」価値ある4強/関塚ジャパン、今後の指針に

2012/08/11 10:34

 

 日本―韓国 後半、2点目のゴールを許すGK権田=ミレニアムスタジアム(共同)

 日本―韓国 後半、2点目のゴールを許すGK権田=ミレニアムスタジアム(共同)

 関塚ジャパンが戦い抜いた16日間は、真夏の夜の夢ではなかった。「無敵艦隊」を撃沈させ、44年ぶりの準決勝にも駒を進めた。そのとき以来となる銅メダル獲得はライバル韓国に阻まれたが、前評判の低さゆえに勝利した瞬間の感動は、失礼ながら「うれしい誤算」となって増幅された。昨今のスポーツ界では「結果がすべて」という言葉が飛び交う。4位という成績に、選手はもちろん、国民だって唇をかまずにはいられない。だが、今後の日本男子サッカー界において、18選手の奮闘ぶりは限りなくメダルに値する価値を秘めていたし、今後の指針になった気がする。

 ▽メダル並みの奮闘

 日本は5大会連続出場を果たしたわけだが、これは原則23歳以下でのチーム編成にオーバーエージ(OA=年齢制限なし)枠が採用され始めた歴史と重なっている。OA枠は3人まで可能だが、日本はその使い方で毎回迷走し、権利を行使しない大会もあった。ロンドン大会で出場16チームのうちフルに枠を使わなかったのは、日本(GK林はバックアップメンバー)を含めてわずか3チームだった。有力国にA代表選手が複数入っているのだから、日本はメダルが狙えなくても当然、となってしまう。

 サッカーの特性からして、ボランチやトップの位置にOA枠を使うと合流期間の短さから連係にほころびが生じ、チームが空中分解する危険をはらむ。さらに、「23歳世代の最後の国際大会」「予選を戦った選手が浮かばれない」など、日本人にありがちな情緒的な思惑も加味されてチームが編成されてきた。

 だが、A代表で争うワールドカップ(W杯)と五輪ほど世界が注目する国際舞台はない。アマチュアが出場していたころの五輪ならともかく、プロが集う大会では非情さに徹し、勝利至上主義を貫かねばならない。勝ち上がるほど、得られる貴重な経験は厚みを増すからだ。

 ▽吉田、徳永の招集的中

 今大会の関塚監督は、吉田と徳永の両DFを招集した。これこそ快進撃を導き出した一番の要因ではなかっただろうか。どんな球技にも共通して言えることは「守備の安定」がチームの土台になるということだ。守りにある程度の計算が立って始めて攻撃に目を転じ、多彩な作戦を練り上げることが可能になる。2人には五輪代表の経験もあり、雪辱の絶好機でもあった。主将も任された吉田は、大会中の選手ミーティングで試合に臨む心構え、休養日の過ごし方など、U−23(23歳以下)の選手たちの甘さをズバリ指摘。後輩たちがアジア予選段階では味わうことのなかった“心地よい”緊張感をもたらした。

 キーマンの1人だった清武は日本を出発前、「日本のすべての皆さんの気持ちを背負って戦う。代表から漏れた選手のためにも」と宣言していた。ニュルンベルク(ドイツ1部リーグ)への移籍の条件に「五輪を最優先で」という文言があったと聞く。縦横無尽に駆け回る姿から、今大会に懸けた思いは十分に伝わってきた。

 ▽自信と課題

 ベスト4に進んだことで次代のA代表を背負う選手たちは大きな自信をつけると同時に、世界と戦うために向上させねばならない各自の課題も発見できたはずだ。W杯で永井や大津のパフォーマンスが求められる時は必ずやってくる。事実、9日にはザッケローニ監督が「五輪代表のチームはA代表の候補だ」と語っている。ロンドンのメンバーから何人がA代表の常連を脅かす存在になり得るのか。その数が多ければ多いほど、2012年の歓喜は歴史に刻まれることになるだろう。(共同通信社 浜田潔)

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