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「五輪コラム」こだわり、徹底で活路/中矢らに日本柔道の未来見る

2012/08/12 11:46

 メダルを手に笑顔を見せる、柔道女子57キロ級で金の松本薫(右)と、男子73キロ級で銀の中矢力=31日、ロンドン(共同)
 メダルを手に笑顔を見せる、柔道女子57キロ級で金の松本薫(右)と、男子73キロ級で銀の中矢力=31日、ロンドン(共同)

 ついにこの日が来てしまったのか−。

 日本の男子柔道が五輪で金メダルゼロ、女子も57キロ級の松本薫のひとつだけという結果になって、今後、様々な検証が行なわれていくことになるだろう。

 ただ、階級によっては悲観しすぎる必要もないだろう(男子の100キロ級、100キロ超級には確かに不安があるが)。金メダルを取れなかったにせよ、前向きになれる材料もあった。特に男子73kg級銀メダルの中矢力、そして女子の松本の戦いぶりには日本がいかにして競争力を高められるのか、そのヒントがあったと思う。

 中矢の寝技には初戦から目を見張った。巧みな寝技のテクニックを使って勝ち上がっていったのだが、5分間の試合の中で、いくら相手が警戒しているとはいっても、一度か二度は寝技に持ち込むチャンスがある。中矢はかなりの確率でそれを物にする技術を磨き上げていた。

 皮肉だったのは、決勝の相手がこちらも寝技が得意なイサエフ(ロシア)。ただし、中矢が持つような繊細な技術というよりも、十字固めなどの関節技を得意とする選手である。イサエフは関節技で中矢を攻め、一方の中矢は抜群のテクニックで劣勢を覆して寝技に持ち込むなど、見どころのある一戦だった。

 敗れたとはいえ、中矢の柔道には今後、日本が競争力を取り戻すためのひとつの方向性があると思う。「寝技にスランプなし」と昔からよく言われるが、寝技にこだわる中矢には「突き抜けたもの」がたしかにあった。

 金メダリストの松本は「指導を取られない女」だ。より正確に言うなら、主審が指導を与えにくいタイプの選手だ。なにせ、「待て」の声がかかってから「始め」の合図までの間も戦闘姿勢を崩さない。あの目を見たら、主審も指導は簡単には出せない。

 加えて、オリンピックの舞台では「受け」が強かった。相手が技を仕掛けてくるところ、松本はしっかりと対応し、ポイントを取らせない。英国BBCの実況を後で聞くと、「ディフェンシブ・スキルにたけている」と表現されていた。

 攻めては、小外刈り、大外刈りという得意技がある。組み手が十分であれば一本勝ちにつながるが、十分でなくとも有効相当のポイントになる技だ。

 準決勝のパビア(フランス)との試合が象徴的で、奥襟をつかんでくる相手にしっかりとした受けで対抗、延長にもつれ込むと、小外刈りで有効を奪い、決勝進出を決めた。

 松本の突き抜けた闘争心と、外国人相手に有効な戦術。これもひとつの方向性である。

 こだわりや徹底。日本の柔道家がこれから世界の頂点に立つためには、際立ったものがなければならない。

 ロンドン五輪は、日本の柔道の未来を考えさせる場となった。(スポーツジャーナリスト 生島淳)

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