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コタミさんのハイビスカス

2015/06/12 14:36:48
コタミさんのハイビスカス
 24年前のハイビスカス。ちょっと古びてはいるが懐かしい昔を偲ぶには十二分の花々だ。

 この花は、元仲南町の高齢者が学ぶ「仲南大学」の学生だった故多田コタミさん(当時74歳)が24年前に作り、同大学の「教室」に持って来てくれたものだ。

 教室は、まんのう町生間の仲南公民館(今は元公民館になっている)の2階和室。以来、撤去されることなく、ずっとここに飾られていた。

 縁あって、当時退職後の3年間だけ、同大学のお世話をさせてもらっていた私にとっては、非常に思い出深い宝物の一つになっている。

 68歳の時、不慮の事故でご主人を失ったコタミさんはその2年後、奄美大島で飲食店兼結婚式場「香川鮨」を営む長男義則さん方に約4カ月滞在。この時、義則さんの勧めで手芸を習ったと言う。

 「70の手習いでした」と、振り返るコタミさんだったが、生来の器用さとセンスの良さで、帰宅後もいろいろな作品を作った。知人にあげたり、新築や結婚祝いに頼まれたりと人気を呼び、カラフルで気品のある作風が歓迎されていた。

 当時、彼女の部屋には花かごや人形、ミニ絵日傘。5円玉で作った祝い亀や米俵など、数々の作品が所狭しと並べられていたものだ。

 町の文化祭には、約600個の5円玉で作った黄金の「宝船」を出品、好評を博したことなども思い出して懐かしい。

 コタミさんが作ったハイビスカスのあるこの元公民館は、ほどなく同町の「子ども園」の新築にあわせて取り壊されることになっている。

 あの花は今、どうなっているのだろうか? 壊される時、どんな扱いになるのだろうか? 閉館中で施錠されている同館にあるであろう、あの花に思いが巡る日々だった。

 近くで行事があった4月22日、公民館長に事情を話してみた。館長は「そう言うこととは全く知らなかった」と、快く解錠し、和室に案内してくれた。

 心当たりの場所を探したがない。室内のあちこちを許しを貰って探索。そして…、ついに見つけた!。

 戸棚の奥に折りたたんだ状態で発見。うれしかった。「あの花がまだ健在だったとは!」。この日は、くしくも、今年度の仲南大学開講式だった。コタミさんの引き合わせだったのかもしれない。

 取り壊しの混雑で、その行方がはっきりしなくなりそうなこの花。コタミさんの心がこもった赤と黄色のハイビスカス。館長が笑顔で言った。「よかったら、持って帰って下さい」と…。

 そして今、朝昼晩、私の目に届くキッチンの窓際にいるコタミさんのハイビスカス。彼女は平成16年に亡くなったという。もし、今元気だったら98歳になる。優しい笑顔で、花たちを見てくれるだろうなぁ…。(香川 佳子)
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