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みんなに愛される足谷川の鯉

2014/01/14 13:26:48
みんなに愛される足谷川の鯉
 東かがわ市引田の足谷川下流に放流されている鯉(こい)が、大人や子どもたち、親子連れら地域の人たちから愛され、見守られている。

 足谷川の岸辺は、春は桜、秋は紅葉と道行く人たちの癒やしのスポットともなっている。この鯉は、近くに住む中嶋一誠さん(58)が6年前に坂出に住む金魚の仲間から「池上げの際、放流していた鯉を引き上げる」と聞き、泉水と酸素ボンベなどを用意し、数匹もらって帰ったそうだ。

 中嶋さんは、足谷川に雑誌や缶などのごみを捨てる人が後をたたず、日頃地域の人が袋を持って清掃している姿を見かけており、鯉を放流するとごみを捨てる人も少なくなるだろうという思いと、川沿いを通るみんなに楽しんでもらおうと鯉の放流を考えた。

 堰の下の溜まりに放流した時、人が入れないほど深く、鯉にとって、とても環境のよい場所となった。その後、鯉の放流を知った地域の人や東かがわ市から高松市に移った人たちから、30匹ほどの鯉をぜひ、足谷川にと申し入れがあり、中嶋さんが引き取って、放流してきた。

 今では、赤ちゃんを連れて訪れるお母さん、学校帰りにじっと見つめる子どもたち、散歩しながら鯉が元気にしているかと毎日様子を見に来る人、えさを持って訪れる人、ごみが落ちて川が汚れていないかと見回る人ら、常に地域の人が足谷川の鯉を見守り続けている。

 この間、台風や大雨など過酷な環境が鯉の棲家を奪うことも度々あり、引田港まで流されて1〜2日たって流れが落ち着くと、また棲家へ帰ってきており、そのとき、中嶋さんや地域の人たちは、ほっと胸をなで下ろすそうだ。

 中嶋さんによると、鯉が海に流されても塩水が川の大水で薄まり、濃度が0・5〜0・7パーセントの海水は、鯉の体の虫を落としたり、傷の消毒にもなるそうで、かえって鯉の体調を守っているそうだ。

 時には心ない人が、川の水が干上がると、大きな網を持ってきて鯉をすくったり、釣ったりする人もいるという。しかし、地域の人が見かけると「鯉は放流してみんなで守っているので、獲らないで」と声をかけている。

 周りは、コンクリートブロックで囲まれているが、川底は自然なため、常に水が澄んでおり、メダカ、アカマツ、フナの子やブラックバスなどが生息している。地域の人によると、足谷川は豊かな阿讃山脈を上流にもち、その湧き水がきれいな川を維持しているのではないかということだ。鯉の体長は50センチほどあり、放流した時より丸々と太っている。

 鯉は堰があるため、上流へは上がっていけず、生態系に問題はなく、引田港までの約400メートルの間の何カ所かに分かれて棲んでおり、常に群れで暮らすようだ。黄金と黒鯉がずっと仲良く寄り添い、川の流れに少し流されては、前に進み、またバックしたりと、ゆったりと過ごしている姿は、思わず見る人に笑顔を誘っている。

 黄金の鯉は、台風や大水、生息しているサギなどの鳥につつかれたのか、背中が少し傷ついている。それでも、過酷な自然を乗り越え、一生懸命生きてきた姿は、鯉にあいにきた人、通りがかりの人や見守る地域の人たちにたくましく生きる勇気を与えている。(永峰 絹江)
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