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忘れられない想い出

2011/07/14 10:48:19
 思い起こせば、はや3年もの月日が流れたんだなぁ。小さなころからの夢をかなえるために選んだ大学。1年の浪人生活を経て、やっとスタートラインに立った長女。好きなことを職業にするのは、下手をすると、嫌になって手放したくなる時期もあるだろう。

 特に、浮き沈みが激しい上に、負けず嫌いの娘は、ここまで来るのに泣いたり、笑ったり、怒ったりの連続だった。

 3年前の春ー。娘が、望んで決めた道とはいえ、入学式が済んで、ひとり知らない土地に置いて帰る時は、本当に辛かった。いよいよ私が帰る時間が近づいてきた時、恐れていたことが現実となった。

 娘は、ベッドの上に座ったまま、こらえていた涙が一筋、二筋、三筋…。そのうち、幼かったころと同じ顔で、声を出して泣きはじめた。

 私は心を鬼にして、こっちの方がよっぽど泣きたい気持ちを押し込めて、普通に会話したのを覚えている。それでも、ひと便、電車の時間を遅らせたのだけど、苦笑親から見れば、幼い頃の娘と、まったく変わってはいないのだ。

 「連れて帰りたい」。そんな衝動にかられながらも、「あとひと月したら、ゴールデンウイークだから帰っておいで。すぐだから!」。そう言いながら「ここで泣いてはいけない、泣いてはいけない…」と自分の心に言い聞かせて、なるべく娘と目を合わさないように、それでも振り返り、振り返り、アパートのドアを閉めた。

 出た途端、滝のように涙があふれ出た。駅までのタクシーの中も、電車も、新幹線も、ずっと涙が止まらなかった。友人に話したら、思い切り笑われた。「まったく、あなたたちは、親離れ、子離れの出来てない親子やねぇ〜」と。おっしゃる通り…。

 それから3年。一人前に、教育実習生として、見習い先生デビューを果たした彼女。なんにも出来なかった子が、悪戦苦闘しながらの一人暮らし。誰一人知り合いのいなかった土地で、たくさんの人と出逢い、楽しくがんばっている。

 時間があれば、夜中でもいつでも、学校のレッスン室にこもって、ピアノやトランペットの練習をして、またバイト先でも、よい大人たちに囲まれて、人生勉強になっている様子。

 でも、親バカな母は、あのベッドの上で、さめざめと泣きながら、そこを動けなかった娘の顔を、一生忘れることはないと思う。次女は、今年から大学生。自宅生だけど、こっちもまた、吹奏楽団のサークルに入って、小さいころから続けているバストロンボーンをがんばっている。

 いつの間にか、大きくたくましく立派に成長した娘たち。ずっと見守っているから、悔いのないようにがんばりなさい。                                        (伊達 秀子)
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