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峠を越えてきた「アジの姿ずし」

2010/12/01 10:15:19
峠を越えてきた「アジの姿ずし」
 高松市塩江町上西の上西交流館・モモの広場で、このほど「男の料理教室・まんぷく会」(大西佑二会長)が開かれ、徳島県境・相栗峠近くの西山地区に住む藤澤良子さん、藤澤年子さん、藤澤弘子さんら3人のお母さんの指導で徳島の伝統料理「アジの姿ずし」に初挑戦した。

 三野一一さんら男性会員10人が、背開きしたアジのおなかに酢飯を慣れない手つきで一生懸命に詰め込んだ。1人2個ずつ、総勢50人分の「アジの姿ずし」を良子さんら西山のお母さんの応援で作り終えた。

 テーブルに並んだ「アジの姿ずし」は、あじのおなかが酢飯で大きく膨らみ、おなかの上に飾られた赤い紅葉がひときわ鮮やかに映る。辺りにユズの香りが漂い、人々の食欲をくすぐっている。

 だんご汁とホウレン草の和え物が添えられて会食がスタートした。町内外から集まった住民から「うまい」「おいしい」「アジがやわらかくて食べやすい」「塩も酢もほどよい」などの声が飛び交っていた。地域住民の胃袋も心もまんぷくにした「アジの姿ずし」は、前日から下準備してきたお母さんの苦労も吹き飛ばしたよう。3人は一様に、ほっとしたような笑みを浮かべていた。

 「アジの姿ずし」は、徳島県吉野川沿いの伝統料理として知られており、奥塩江には徳島県から峠を越えてお嫁にきている女性も多いという。弘子さんは徳島の南方面から嫁いできたが、良子さんと年子さんの2人は相栗峠を越えて美馬から西山地区にお嫁に来た。

 嫁いで来て54年になるという良子さんは「古里では昔、秋市で塩と酢につけたアジのたる入りを売っていた。当時のアジは塩辛かったが、今は流通事情が良くて魚も新鮮で、おいしく作れる」と、うれしそうに話す。年子さんも「アジのおなかに詰める酢飯を握る時は、ユズ酢を手につけて握る」と秘伝を披露した。

 奥さんの両親が美馬出身だという町内の藤島正さん(64)は「両親も作っていた味。長いこと食べてないなぁ」と言いながら舌鼓。峠を越えてきた食文化が、阿讃の住民のきずなを深めて交流の輪を広げていく。和やかな空気が上西の渓谷に流れた小春日和の一日だった。                                            (野網 則子)
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