
ホストファミリー(左側の2人)と握手をする永池南さん(中央)。右端から母の貞子さん、父の隆さん=23日午後、神奈川県厚木市
東日本大震災で被災し、神奈川県の一般家庭へのホームステイが決まった福島県いわき市の県立高校2年永池南さん(16)が23日、神奈川県厚木市で記者会見し「原発事故の放射能が怖く、安心して生活できない。落ち着いて学校に通いたい」などと心境を語った。
両親やホストファミリーも会見に同席。25日から、神奈川県立高校で新たな学校生活が始まる。
永池さんは、福島第1原発から約三十数キロ南にある市営住宅で、運送業の父隆さん(60)、団体職員の母貞子さん(44)、中学3年の弟(14)と4人で暮らしていた。
震災で自宅の約100メートル手前まで津波が押し寄せたが、高台に逃げるなどして全員無事だった。しかし、高校が被害を受けて通えなくなり、被災地の児童、生徒向けに神奈川県が始めたホームステイ制度に応募した。
期間は約1年で、両親と弟はいわき市に残る。隆さんは「娘と離れるのは心配。早く原発が収束してほしい」と話した。受け入れ先となる会社員島田一洋さん(52)は「普通の高校生活が送れるよう、お手伝いしたい」と気遣った。
新しい学校には、福島県楢葉町から神奈川県内の親族宅に避難している同級生松本杏樹さん(16)もいる。永池さんは「また同じ高校になって安心。福島では困っている生徒が他にもいるので、ホームステイ制度を利用してほしい」と話した。
制度は被災した小中高生が対象で、食費や日用品はホストファミリーが負担する。神奈川県の1486世帯で受け入れ可能で、利用者は永池さんが2人目という。