
仮設住宅の説明会で担当者から説明を受ける被災者ら=8日午後、岩手県陸前高田市
岩手県陸前高田市で8日、仮設住宅の抽選に当たった被災者向けの説明会が開かれた。市職員から費用負担などの説明を受けた後、早速鍵を受け取り、部屋を下見する人も。入居予定者への鍵渡しは被災地では初めてで「高台だから安心」と喜ぶ声が聞かれた。それぞれ準備でき次第、順次入居する。
仮設住宅は避難所にもなっている市立第一中学校の校庭に36戸建てられた。室内には日赤から寄贈された洗濯機や冷蔵庫を配備。村上れんさん(80)は部屋を見て「想像以上に立派。涙が出るくらいうれしい」と喜んだ。妻と入居する及川清八さん(77)は「高台にあるので地震が来ても安心ですね」と話した。
1160組が入居を申し込み、平均30倍を超える抽選となったことから、佐々木栄さん(79)は「津波に全て流されたので当選はうれしいが、ほかの被災者のことを考えると申し訳ない気持ちでいっぱいです」と遠慮気味。別の男性(76)は「2年で退去しなくてはならない。親戚もいないし、その後はどうすればいいのか」と不安を口にした。
陸前高田市内では、ほかに3カ所で約200戸の仮設住宅を建設中。岩手、宮城、福島の被災3県は全体で6万2千戸の整備を目指しているが、用地確保の難航や資材不足で着工したのはまだ1割弱にとどまっている。