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青戸病院事件の判決要旨/東京地裁

2006/06/15 13:13

 東京地裁が15日、青戸病院の元医師3人に有罪を言い渡した判決の要旨は次の通り。

 【3人の技術】

 前立腺がん摘出の腹腔(ふくくう)鏡手術は開腹術に比べ技術的困難性が高く、生命身体への危険性が高い。斑目旬被告ら3人の中には、前立腺がん摘出の腹腔鏡手術を術者として経験したことのある人は1人もいなかった。長谷川太郎、前田重孝両被告は手術に立ち会った経験すらなかった。

 3人は、自分たちの技術が手術を安全に施行できるか否かをまったく確認せず、出血管理の困難さについて、事前に一切考慮しなかった。高度先進医療の申請などの手続きもとらなかった。

 3人は、開腹術に移行すれば安全に手術を終えることができるなどと安易に考え、指導医を呼ばず、どのような場合開腹術に移行すべきかなどを検討していなかった。

 手術では組織をいたずらに傷つけて出血させ、最も基本的な出血管理もせず続行した。3人だけで手術を安全にできる最低限度の能力がなかったことは明らかだ。

 【死亡との因果関係】

 患者は低酸素脳症が原因の肺炎によって死亡した。知識、技術や経験がない3人が患者の全身状態を全く把握せずに手術を続けて死亡させたことから、その過失と死亡との間に因果関係があることは明らかだ。また麻酔医の輸血措置などについては非常識な行為だったとまでは認められず、因果関係を否定するほどの特殊事情はない。

 被告らは死亡は麻酔医の輸血の遅れによるものだとして、あたかも出血管理に責任がないように主張している。しかし出血管理が麻酔医だけの責任でないことは明らか。被告らに責任がないとする根拠は認められない。

 【量刑の理由】

 3人に手術を安全に施行する能力はなく、適切な鉗子(かんし)操作ができず組織を傷つけ、出血管理もできなかった。自分たちの能力を過信し、安全対策を講じないままの手術で、無謀というほかなく過失の程度は大きい。必要性、緊急性がないのにこの方法を選択し、何度も開腹術へ移行する機会がありながらこの方法を続行した経過をみれば、少しでもこの方法の経験を積みたいという自己中心的な利益を優先していたことも否定できず、患者の安全と利益の確保という医師としての最も基本的な責務を忘れた行為は強い非難に値する。無謀な行為が真剣に医療に取り組む多くの医師に与えた委縮的効果も見過ごせず、責任は重い。

 泌尿器科診療部長、同副部長らが監督責任を果たしていたとはいえず、その責任は軽視できない。また手術後、慈恵医大と青戸病院では死因を心不全と偽る工作を行うなど、組織ぐるみで事件の隠ぺいを図ろうとしたことが認められる。患者の全身管理を第1次的に担う麻酔医が必要な情報を被告らに伝えなかったことも死に至らしめた大きな要因となっている。

 【結論】

 刑事責任は重いが、責任を全面的に負わせることが相当でない事情もあり、今回に限り刑の執行を猶予するのが相当だ。

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