全国の警察が把握した特殊詐欺の被害額

全国の警察が把握した特殊詐欺の被害額

 今年1〜11月、全国の警察が把握した振り込め詐欺など特殊詐欺の被害額は、約498億7千万円で、過去最悪だった昨年1年の約489億5千万円を既に上回ったことが22日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。1年を通した被害額は今年初めて500億円を超すことが確実となった。

 香川県内の11月までの被害額は約4億6700万円と、過去最悪だった昨年1年の約4億5200万円を既に上回った。認知件数(既遂)も110件で、前年同期に比べ41件多い。

 警察庁によると、監視が厳しい金融機関の現金自動預払機(ATM)を利用して金を振り込ませるのではなく、郵便や宅配便で一度に多額の現金を送らせる「送付型」と呼ばれる手口が急増したことが要因だ。

 受け渡しの手口別に被害額をみると、犯人とじかに接触する「手渡し型」が昨年に続いて最多で、昨年同期比約1億6千万円増の約214億9千万円。次いで送付型が約184億8千万円に上り、約77億円も急増した。一方、振り込み型は約7億7千万円減の約96億1千万円となった。

 地域別では、犯人グループの拠点があるとみられる東京近郊は手渡し型が多く、その他は送付型が多い特徴もある。

 全国の警察は11月末から、コンビニや運送会社に対し、被害に遭いやすい高齢者が荷物を持って窓口に来た際、中に現金が入っていないか確認するよう呼び掛けている。

 だましの手口別の被害額では、パンフレットなどの書面を示さず、電話口だけで架空の未公開株や社債の購入を持ち掛ける「架空請求詐欺」が昨年同期に比べ約93億円増え、約145億7千万円に上ったのが目立った。最多は依然として「おれおれ詐欺」で、約5億3千万円増の約157億5千万円だった。

拠点の摘発に本腰
 振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺による被害が過去最悪を更新した。詐取金を受け取る「受け子」ら、犯罪組織の末端ばかりが逮捕される「トカゲのしっぽ切り」が続く中、警察当局は、組織が拠点とするマンションやオフィスビルの摘発に力を入れ始めた。不動産業者の団体などに、情報提供を呼び掛ける動きも出ている。

 警察庁によると、全国の警察が1〜6月に摘発した拠点は、東京、北海道、埼玉、千葉、神奈川の5都道県で計13カ所。昨年の同時期に比べて3カ所増えており、下半期も昨年を上回るペースで摘発している。

 警察庁は6月、ウェブサイトに拠点などの情報提供を受け付ける窓口を開設した。11月末までに600件以上の情報が寄せられ、各地の警察と共有している。

 捜査では、交番勤務の警察官や、過激派を担当する公安部とも積極的に連携。警察当局幹部は「今後も拠点対策に力を入れる」と意気込む。埼玉県警は8月、地元の不動産協会などと被害防止のための協定を締結。「複数の人の出入りがある」「日中もカーテンが閉めきったまま」といった不審な部屋について、県警に連絡するよう要請した。