
「長い間お世話になった皆さんに感謝の気持ちでいっぱい」と語る宮武さん=香川県琴平町上櫛梨、宮武うどん店
讃岐うどんブームを代表する人気店「宮武うどん店」(香川県琴平町上櫛梨)が閉店した。店主の宮武一郎さん(66)が、年齢を重ね、体力的に限界を感じたことから決断したという。先代が開いて半世紀以上、地元住民やうどんファンに愛され続けた老舗は、静かにのれんを下ろした。
同店は、父の士郎さん(故人)が1953年に創業。同店の代名詞にもなっている「あつあつ」「ひやあつ」といった注文の言葉は、同店を訪れた客が使ったのが発祥という。
宮武さんは、本広克行監督の映画「UDON」で、製麺(めん)所を営む主人公の父のモデルになったことでも知られる。
最後の営業となった4日は、「家族と同じように大切な存在」の常連客に閉店を告げるのが一番つらかったという宮武さん。「突然の幕引きになったが、自分の体力を考えると仕方がない。長い間、多くの人にお世話になり感謝している」と目を潤ませた。
同店と親類関係や師弟関係にある“宮武ファミリー”の店は香川県内外に健在で、「お客さんに讃岐うどんをもっと愛してもらえるよう、弟子には日々悩みながら勉強し、俺を超えてほしい」と期待を込めた。
「麺通団」団長の田尾和俊四国学院大教授は「うどん巡りブームの第1世代に当たる人気の大将。ただひと言、お疲れさまでしたと言いたい。幸せな隠居生活を」と宮武さんの労をねぎらい、「店がなくなるのは残念だが、“宮武ファミリー”が味をつないでくれるはず」と話していた。