
輸入小麦の高騰の影響で値上げに踏み切った讃岐うどん店=香川県高松市内
輸入小麦の価格が4月から30%引き上げられる。昨年4月の1・3%、10月の10%に続く値上げ。わずか1年間に3回、それも今度は値上げ幅が大きいとあって、原料の大部分をオーストラリア産小麦に頼る讃岐うどん店などから聞こえてくるのは「コスト削減は限界。厳しい」との声ばかり。今年10月には4回目の値上げも予想されており、讃岐のソウルフーズを守る業者は悲鳴を上げている。
4月の値上げ幅は1973年の35%に次ぐ大幅なもの。その原因は、小麦の主要産地・オーストラリアでの干ばつ、中国やインドなどの需要増に加え、バイオ燃料の原料としての需要拡大などがあるという。
輸入小麦は全量を政府が買い取り、国内生産農家への補助金を上乗せして製粉会社へ販売する仕組み。4月の値上げにより、うどん用小麦の主流「オーストラリア産スタンダード・ホワイト(ASW)」の政府売渡価格は、1トン当たり6万9590円と、1万6060円もアップする。
県内の製粉会社など13社が加盟する県製粉製麺協同組合によると、ASW25キロで500円台の値上がりは確実で、安藤弘専務理事は「政府にも在庫がなく厳しい状態。小売価格への転嫁は避けられない」と苦渋の表情を浮かべる。
県内の93社(120店)が加盟するさぬきうどん協同組合では、昨秋の値上げを見送った約2割の店で、10―20円の値上げが予定され、再度の値上げを検討する店もあるという。原油高騰などで節約も限界とあって、大峯茂樹理事長は「顧客に理解を求めるしかない」とこぼす。
日本の小麦自給率は、わずか10%程度。県内でうどん用として使われている小麦も、ASWが85%、国産が10%、県産小麦「さぬきの夢2000」が5%というのが現実だ。ASWの価格がここまで上がっても、代替原料はないに等しい。
県の推奨などで県内で生産される小麦は現在、さぬきの夢2000がほぼ100%。生産量は年を追うごとに増えており、07年産は4880トンまでになった。
ただ、06年に県内で使ったうどん用小麦量は6万661トンで、代替できるレベルではない。
干ばつという自然災害を起因とする今回の輸入小麦の値上がり。「今後、どこまで上がるのかは見当もつかない」状況の中、うどん店など関係者の苦悩の日々はしばらく続きそうだ。
自給率向上の議論を
今や世界に誇る香川のソウルフーズ「讃岐うどん」だが、「早い・うまい・安い」という売りの一角が脅かされている。取材の中で、うどん店主らが必ず口にしたのは「値上げへの申し訳なさ」だ。安さへのこだわり。10円の中に込められた店主の心意気を強烈に感じた。
今回、うどん1杯の値上げから見えてきたのは、やはり、日本の食料自給率の低さだ。温暖化で干ばつが頻発する可能性は高く、中国などの需要も増え続けるだろう。そうなれば輸入小麦価格の高止まりは避けられず、食料安全保障の真剣な議論が急務といえる。
金を出しさえすれば、好きなだけ食料が買える時代は終わった。県内のうどん店を回る途中、そこかしこで目に入った遊休農地。食と農について1人ひとりが考えなければならない。(報道部・村川友康)