
香川漆器に盛られた香川県産食材のスイーツ=東京・丸の内

「フェアを通して香川の食と伝統をPRしたい」と話す山口総料理長=東京・丸の内
東京・丸の内の「丸ノ内ホテル」が経営する2つのフランス料理店で、香川県産食材を使ったデザートを提供するスイーツフェアが開かれ、人気を集めている。おしゃれな洋菓子に変身した金時ニンジンや温州ミカンが納まるのは、つややかな光沢を放つ香川漆器の皿。ケーキやタルトの華やかさを優しく包み込む自在で大胆な和のテーブルウエア使いが、漆の幅広い用途を提案している。
フェアは、香川県が同ホテルの山口仁八郎総料理長(45)に依頼して初めて開催。山口は、これまでに何度も香川県産食材を使ったフェアを手がけてきたが、今回はスイーツ特化、加えて香川漆器とのコラボレーション。香川県内の産地に足を運び、漆器商と意見をかわし、昨秋から準備を続けてきた。
「初めて香川漆器を使ったのは5年前のフェア。その時は、まず値段の高さに驚き、オーソドックスなのに戸惑った。漆器組合にかなり言いたいことを言いました」
その後、若手の漆器商が新作を持って山口を訪れる。作品からは、使い手側の意見に真摯(しんし)に耳を傾けた作り手の姿勢が伝わってきて、山口は総料理長を務めるフランス料理店で香川漆器を使い始める。漆の食器にフランス料理。評判は上々で、繊細な手仕事の味わいに引かれ、買い求める人まで現れたという。
香川に赴いた時、「手を漆だらけにして懸命に働く職人の姿に感動した。料理を盛ることで作り手の姿を伝えたい」という山口。フェアには香川高松市の中田漆木、宗家後藤盆、一和堂工芸の3店が食器を提供。デザートフォークは、それぞれに特注したオリジナルだ。
組み合わせるデザートは計13種類。渋い紫の縁取りが施された黒漆の丸皿に、つややかなカラメルの和三盆プリン、赤と黒に塗り分けた大胆な角皿には、雪のような粉砂糖がかかった長方形のパウンドケーキ。定番の白い磁器に慣れた目には何とも新鮮で、器と料理がつくり出す色彩の世界を楽しめる。
「西洋料理には、装飾の少ないシンプルな皿であることが第一。薄いとなおいい。装飾が見せどころの漆芸には厳しい注文かもしれないが、使い手とのコミュニケーションを重ねて、フレンチやイタリアンにも対応できる現代的な漆器をさらに生み出してほしい」と山口は期待を寄せている。(東京支社)
スイーツフェアは東京・丸の内の「ポム・ダダン」と大手町の「東京ジョンブル」で31日まで。香川の食材を使った13種類のデザートをランチ、ディナータイムのコースとカフェタイムで日替わり提供する。