伝統と格式を重んじる世界に生きる。でもこの人の素顔は違うようだ。どちらかといえば堅苦しいのは苦手。開けっぴろげで話し好き、お笑い好きでちゃめっ気たっぷりの人である。
本年度の県文化功労者に決まった金刀比羅宮宮司琴陵(ことおか)容世(やすつぐ)さん。信仰と文化でお宮を活性化する「琴平山再生計画」を推進。相次いで美術展を企画し、応挙や由一といったお宮の文化財を紹介、「香川の知名度アップに貢献した」のがその理由だ。
このところ、こんぴらさんには目を見張るものがある。お宮の書院の障壁画を丸ごとパリまで持っていったり、境内では西洋絵画展や写真展を開いてきた。おしゃれなカフェも作った。想像もつかない展開は型にはまらない、この人そのもの。
庶民信仰のお社だから、気安さ、親しみやすさを演出したいという。現在進める再生計画は境内の自然を整備し、いつ来ても心穏やかに、すがすがしい気持ちになってもらうことだそう。「お宮の文化財は奉納されたみなさんのもの。見てもらってこそ、価値がある」と公開に意欲的だ。
心に刻む言葉がある。「山上山下」。父であり先代宮司だった光重さんの教えだ。「お山が栄えてこそ、町も発展する。町が潤ってこそ、お宮もにぎわう」。生まれ育った香川の発展に少しでも力になればと願う人でもある。
再生計画はまだ道半ば。長い石段のようにゴールは遠い。これからどう、タクトを振るのだろうか。きょう文化の日、県庁で県文化功労者の表彰式がある。