「何かおかしいな」「どう見ても変や」。早明浦ダムの貯水率低下を報じるニュースを見ながら、ずっと同僚と首をかしげていた。貯水率が30%を割り込んだのに画面で見るダムの水位が高すぎるのでは、と。
ダムの底に沈む旧大川村役場、あの渇水の象徴とも言える建物もようやく顔を見せた程度。これまでなら貯水率が30%になるころにはすっかり姿を現し、重苦しい気持ちにさせられていたのに。これはどういうことなのか。
調べると、やはり錯覚ではなかった。いわゆる利水容量は数字通りだが、その他の水、つまり発電用の水が今年はずっと多い。現在の利水容量約5千万トンの半分に相当する約2600万トンの発電用水が残っている。
過去の大渇水時は発電用水の残量が1千万トン弱だったが、今年の発電用水の「貯水率」は100%。水利権を持つ電源開発によると「天候の関係などで発電要請がなく、7月下旬には関係機関から渇水に備えて残すよう要請されていたため」という。
発電用水のうち過去の渇水時より多い1600万トン余を一般の貯水率に換算すれば10%近くアップする。表に出ている数字からイメージするほど実際のダムの水は減っていない。
12日、電源開発などは貯水率がゼロの時点で発電用水を緊急放流することを了承した。過去の配分通りなら86日分の水道用水は確保できるという。しかし、ダムの水に限りがあることに変わりはない。安心することなく、節水第一を肝に銘じておきたい。