高松地方気象台によると、一月の月平均気温は六・七度。これは過去四番目の高さだという。暖冬であることは、数字が雄弁に語りかける。
きょうは「四立」の一つ、立春。暦のうえでは春。朝夕の冷え込みはあるものの、立春と聞けば、やはり、ときめくものがある。温暖化傾向で地球がおかしくなっているのではないか、と気をもむ折、季節の変わり目に、ますます重みが加わってくる。
「光の春」と言うように、春の訪れは、真っ先に光が教えてくれる。ガラス窓越しに見える空にも、その光が躍っている。冬至のころに比べると、ものの影も、ずいぶん短くなった。「立春のひかりのなかの木馬たち」(萩原都美子)。
「NHKテレビ「おはよう日本」の気象キャスター、田代大輔さんの「お天気歳時記」(NHK出版)にも「気温が上がりはじめる前に、まずは日の光は春を迎える…」と記している。日差しが地面を温めるエネルギー(日射量)も、十二月に比べ二月は一・七倍になるという。
空の光は海にも反映する。「ひらきたる苞(つと)立春の明石鯛(あかしだい)」(田村木国)。瀬戸内の友人から送ってきた藁(わら)苞を開くと、大鯛が姿を現す。いまでは鯛の浜焼き以外、藁苞で送ることは少ないだろう。桜鯛とはまた違った早春の新鮮さが感じられる。
明石鯛は天下の絶品。木村蕪城さんは「春立つ日にふさわしく豪華にしてめでたい贈りものであることよ」(「現代俳句鑑賞辞典」東京堂出版)と解説。本格的な春の到来までには「余寒」とか「寒の戻り」を経なければならない。
受験生や社会に巣立つ人には「春は名のみの 風の寒さや」だろうか。