かつて、怖いものは「地震・雷・火事・親父(おやじ)」の順番だった。だが、封建的な家族制度崩壊で父親の存在感は薄らいでいる。雷や火事も油断禁物だが、一番はやはり不意に襲ってくる地震か。二番目は台風だろう。
日本は世界有数の地震国として知られている。「揺れ動く大地の脅威は、日本人には大きな脅威として刻み込まれている」と言ったのは物理学者の島村英紀氏だった(「地震列島との共生」岩波書店)。
地震は前触れがない。特に直下型の内陸地震は、プレート境界型地震に比べ予知が困難という。一九九五年一月の阪神・淡路大震災では、六千四百人を超える犠牲者が出た。
神戸の大惨事からほぼ十年。一昨日夕に発生した新潟県中越地震も直下型内陸地震だった。最初の地震はマグニチュード(M)6・8。震源が浅いため被害は局地的に集中し、死者・負傷者数は阪神大震災以来の規模となった。
被災から二日目のきのう、余震が頻発するなかでツメ跡も明らかになった。テレビ画面に映し出された倒壊家屋や陥没した道路、路床をえぐられ宙に浮いた線路が激しい揺れを物語っている。
なかでも上越新幹線の脱線には衝撃を受けた。時速約二百キロで走行中に地震検知システムが作動し急ブレーキがかかったものの、八両が脱線し三〇度近く傾いた車両もあった。幸い、死者・負傷者はなかったが、直下型地震に対するシステムのもろさが気になる。
新幹線の安全対策はおろそかにできない。だが、被災地では、水道や電気などのライフラインが寸断し食料も不足気味という。北信越の冬は近い。ここは、八万人以上の被災者救済と復旧が急がれる。