人生観を変えてしまう出来事はめったにあるものではないが、万の命が失われ、破壊の限りを尽くされた東日本大震災の後、生き方を問い直したという人は多いだろう。
「生や死の意味について考えることが増えた」「人とのつながりの大切さを意識するようになった」―。アクサ生命保険が6月中旬、1万人を対象に実施した「震災後に『見直したもの』実態調査」で、約7割の人がこれらの項目を挙げた。
働き方に対する意識の変化も目立つ。「高収入を得たい」が震災前の34・2%から24・1%に、「出世をしたい」は11・1%から5・9%に急落。一方で「家族の近くで働きたい」が17・6%から22・7%に上昇した。
結婚情報サービス会社のオーネットが5月中旬、未婚女性900人に行った意識調査では、20歳代の81・0%が「結婚したい」と回答。晩婚化、非婚化が進む中、10年来の高水準に跳ね上がったという。「地震がきたとき、一人だと不安」。そんな思いが婚活へと駆り立てている。
2010年国勢調査の抽出速報で、一人暮らし世帯の割合が3割を突破し、初めてトップになった。未婚率の急激な上昇が一因とされるが、未曽有の震災が流れを押し戻す契機になるかもしれない。
かけがえのない命が突然、断ち切られることがある。嘆いても、どうにもならない現実がある。被災者の歩みに心を寄せつつ、縁ある人との絆を強く結び、限りある生を大切に過ごす。そのことが万の犠牲者に報いる道だと信じる。(E)