
出陣式で支援者らと握手を交わす大西さん=香川県高松市東ハゼ町
合併県都初の「選択のとき」は無風だった。15日告示された高松市長選は、総務省出身の大西秀人さん(47)が新人候補としては史上初めて無投票で当選した。「対立候補は本当に現れないのか」。唯一の市長候補は、不安な思いを断ち切るように、合併で広くなった県都に選挙カーを走らせ、街頭でマイクを握った。そして、不戦勝の知らせ。万歳の声がこだまする中、「街の拠点性強化を」「市民に信頼される市役所を」と、かじ取りを託される42万県都の新たな姿を見据えた。
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見上げた空は薄曇り。少し肌寒さを感じる早朝、大西さんは佳子夫人(45)とともに香川県高松市宮脇町1丁目の石清尾八幡宮にいた。他に立候補の動きがない中、一心に選挙の勝利を祈願した。
出陣式は午前9時から。同市東ハゼ町の事務所で「登山に例えると現在9合目。これからが残り1合のスタート。市域をくまなく回り政策を訴えたい」と決意表明し、選挙カーで遊説に出発した。
そんな息子の姿を遠巻きに見守った実母雅子さん(73)。幼いころから故大西末広元県議会議長の姿を見て「『父のようにはならない』と言っていたのに、まさか同じ政治の世界に身を置くとは」と複雑な心境を吐露。「決断した以上は頑張って」と胸の内でエールを送った。
選挙カーは午前中、合併町を含め市東部や南部を一巡。牟礼町の牟礼北小学校前での街頭演説では「高松が中枢都市としてしっかりと発展するよう市政運営に尽力したい」と熱く語り、支持者と握手を交わした。
うどんとおにぎりの短い昼食をはさむと再び遊説に出発。額に汗をにじませながら合併で広くなった市域を肌で感じた。
立候補届け出の締め切りの午後5時。無投票当選の知らせは遊説中の車内で受けた。大西さんは遊説隊のスタッフとがっちり握手したという。「ほっとはしたが、もう少しやりたかった気もする」と短い選挙運動を惜しんだ。
事務所に戻った大西さんを待っていたのは約400人(事務所調べ)の支持者。8時間前に出陣式を開いた会場は、無投票当選を祝う祝賀会場に姿を変えた。
支持者を前に「当選は日々の積み重ねが集大成となり、頂いた結果。初期の目的を成し遂げ充実した気持ちでいっぱい」と深々と一礼した大西さん。全員で万歳三唱の後、長女美和さん(15)が花束をプレゼント。まな娘の姿にいったんは緩んだ表情も、「市民が誇りを持てる中枢拠点都市高松に」と抱負を語ると、すぐに引き締まった。