シリーズ追跡

05渇水の行方は/94年と比べると…

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梅雨の“復活”が左右

 空模様がおかしい。今月十一日に梅雨入りした四国地方。梅雨の盛りのはずなのに青空が広がり真夏を思わせる猛暑。命の水がめ早明浦がまたしてもピンチだ。高松の六月の雨量は二十五日現在二二ミリ(平年比14%)と観測史上最少ペースで推移。早明浦ダムの貯水率も30%台に落ち込み、取水を50%カットする第三次取水制限も目前だ。このまま降雨がなければ七月十日ごろには0%になるという最悪のシナリオさえ現実味を帯びてきた。果たして、このまま大渇水に突入するのか。渇水といえば、「高松砂漠の再来」「平六(平成六年)渇水」とも呼ばれた一九九四年の大渇水が記憶に新しい。九四年渇水との▽天候▽自己水源▽節水意識―などの比較を通して共通点や相違点を探りながら、今後の行方を追った。

天候は 太平洋高気圧に差 94年は強力、今年は弱く

渇水時の取水制限比較
渇水時の取水制限比較
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94年との降水量比較(高松)
94年との降水量比較(高松)
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94年との高水量比較(早明浦ダム)
94年との高水量比較(早明浦ダム)
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 今年の高松の降水量をみると、二月こそ六〇・五ミリと平年比127%を記録したほかは、すべて平年を大きく下回って推移。特に四月の二八・五ミリ(平年比33%)は観測以来の月別最少記録だ。五月も二七・五ミリ(同27%)で過去二番目。六月は二十五日現在二二ミリ(同14%)、月末までまとまった降雨は期待できず、最少の公算が大きい。

 早明浦ダム上流の降水量も同傾向で二、三月は平年並みだが、四月以降は激減。六月は七二・九ミリ(同19%)しか降っていない。

 一九九四年の大渇水時と比べるとどうなのか。高松の降水量を比較=図表(上)=すると、一、二、三月は、ほぼ同傾向で推移しているが、四月以降は九四年の三割程度しか降っておらず、今年のほうが深刻だ。

 早明浦の比較=図表(下)=でも傾向は同じ。今年四月以降の少雨ぶりが顕著で、四、六月は九四年の四割程度にとどまっている。

100キロの差
 今年四、五月の極端な少雨の原因について高松地方気象台は「大陸からの移動性高気圧に覆われて晴れた日が多く、たまに通る低気圧が北日本や北海道を通ったため」と分析。低気圧は従来、西日本を通ることが多く、北日本を通過するのは珍しいという。

 六月十一日の梅雨入り以降も少雨が続いていることについては「太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、日本列島の南にある梅雨前線を押し上げる力が弱いため」(同気象台)と解説。「室戸は平年並みに降っており、あと百キロの差なんですよ」。同気象台の予報官は悩ましげに事情を説明する。

 数値からいえば九四年を上回る異常事態だが、同じ大渇水の道を歩むのか。
 「いいや。そうは見ていません」と同予報官。根拠を聞くと、「九四年は梅雨明けが七月二日で、平年より十四日も早かった。太平洋高気圧の勢力が強いことによる空梅雨が原因だった。一方、今年の太平洋高気圧は弱く、梅雨明けも早くない」と、何枚かの予報図を示す。

予報図に雨雲
 予報図には七月二日の週から、西日本にかかる低気圧や雨雲が見えている。「六月中は見かけ上、消滅している梅雨前線が、七月に入ると朝鮮半島にできる気圧の谷の影響で活発化し、再び天気は崩れる」と予報官。
 気になる今後の雨量については、「向こう一カ月は平年並みか少ない」と予報する。

 昨年のような豪雨と今年のような少雨を分けるのは、高気圧の強弱や梅雨前線の位置、風向きのわずかな違いという。七月の梅雨本番の降雨に期待するしかないようだ。

自己水源は 確保へ知恵絞る 降雨頼みに限界も 各自治体

貯水率が4割に落ち込んでいる御殿貯水池=高松市鶴市町
貯水率が4割に落ち込んでいる御殿貯水池=高松市鶴市町
 一日最大で二万二千トンの処理能力を持つ高松市鶴市町の御殿浄水場。現在一日平均約一万二千トンの処理を行っているが、そのうち約三千トンは九四渇水以降、民間と提携したり、新たに掘削した井戸水を利用している。

 野田員生場長は「ご覧の通り、香東川に水は流れていないし、井戸も水位が極端に低下。専用の御殿貯水池も満水時の四割程度で状況は早明浦と同じ。処理能力があっても、水がなければ…」と空を見上げる。

各市町水道に占める香川用水の割合(数字は%)
各市町水道に占める香川用水の割合(数字は%)
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 高松市水道局によると同市は、九四渇水を教訓に、当時六割以上あった香川用水への依存度を五割程度まで引き下げ、自己水源の確保に努めてきた。水源を多角化することで、早明浦ダムの取水制限に対する“保険”をかけた格好だが、このまま県内に雨が降らなければ、その保険自体の雲行きが怪しくなる。

依存度は微減
 県内各市町水道の香川用水への依存度は、別表の通り。県全体では、一九九三年度の47・4%から二〇〇三年度の44・1%と若干低下している。が、市町ごとに見ると、琴平町のように大幅に低下した町は少数で、十年前の状況とさほど変わっていない。

 県は九四年度に緊急用として、九八年度以降は渇水対策として、市町に井戸掘削や水道連絡管敷設への補助を実施。十八本の井戸と二本の連絡管が整備されたものの、県が期待したほどの実績は上がっていない。「既に手は打ってあり、何をいまさら、というのが市町の反応だった」と県環境・水政策課。

善意の井戸も
 自前の浄水施設を持たない香川町は「節水を呼び掛ける以外、打つ手なし」が実情だ。町では、前回の渇水時に民間から提供を受けた「善意の井戸」の活用を今回も視野に入れている。

 九四渇水以降、吉田ダム(内海町)、門入ダム(さぬき市)、粟井ダム(観音寺市)が完成。日量で計七千トンの水道用水が新たに確保された形だが、県全体の一日の需要量三十九万トンの2%にも満たない。

 県内の水道用水は、九八年ごろの日量平均約四十万トンをピークに需要は漸減傾向。それでも七〇年代後半と比べ、約十万トン増えている。

 

節水意識は 1人の使用量アップ

 「そりゃあ高松は節水に関する補助制度も充実してますし、何より市民には『平六』の記憶が残ってますからね」。そう強調するのは、補助を所管する市下水道管理課の担当者。

 二〇〇三年度の一人当たりの一日の使用量(事業所を含む)は、大渇水前の一九九三年度より十四リットル少ない三百三十六リットルに減少したといい、担当者からは「市民ダム」との比ゆも出た。が…。

尺度に誤解
 市は九七年度、雨水タンク設置に助成を開始。前年度が渇水傾向だった九九年度の百六件をピークに昨年度は六件に落ち込んだものの、累計は三百七十九件。節水効果は千二百八十二トンに上る。また、浄化槽を転用した雨水貯留槽の整備への助成や啓発にも積極的だ。

 県内では、同様に七町が雨水利用を促す助成制度を持つほか、多くが節水コマの配布やステッカー作成などによる啓発を実施。県環境・水政策課も「一定の成果が挙がっている」と評価する。

 ただ、節水意識の高まりが高松市の冒頭の数字に実を結んだ、とは言えない。景気低迷に伴う事業活動の縮小が考慮されていないためだ。他市町でも一部、尺度に対するそんな誤解がある。

世帯増響く
 「非常に残念なんですが…」。県環境・水政策課の担当者は営業用などを除いた「生活用水」のデータを手にこう切り出す。

 口径のサイズを基に算出したため推定も含まれるが、〇三年度の一人当たりの一日の使用量は県平均で二百二十八リットル。九三年度との比較では、実は十二リットル増加していた。高松市も県平均こそ下回ったものの、同様の傾向だった。

 要因には、水洗トイレやシャワーの普及はもちろん、「核家族化に伴う世帯数の大幅増加がある」(同担当者)。風呂や炊事、洗濯とベースの使用量が跳ね上がり、人口が減っても給水量が増えたという。県や市町の努力も、これらをカバーはできなかった。

 「今年は渇水の兆候だからでしょうか」。高松市下水道管理課の担当者は、雨水タンクの助成が〇五年度の三カ月間で九件と、昨年度を超えたことに驚く。急場でなく、恒常的な節水行動が根付くには、契機と相当の時間が必要かもしれない。

 佐竹圭一、山下和彦、岩部芳樹が担当しました。

(2005年6月26日四国新聞掲載)


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