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| 4月5日の開通を待つばかりの明石海峡大橋。近畿と四国を直結する新陸路の完成は、香川の物流にも大きなインパクトを与えそうだ=資料
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「えっ、こんなにシフトするの」。高松市以東の高速道路が途切れ、途切れのため、明石海峡大橋が開通しても当面は大きな変化はないだろうと見られていた香川の物流だが、四国新聞社が実施した県内のトラック業者に対するアンケート調査で、予想を上回る業者が運送経路の変更を計画していることが分かった。全部または一部を変更すると答えた業者は、65%に上る。数字通りだと、瀬戸大橋やフェリーには手痛い状況だ。今回は、アンケートに取材を加え、「調査結果は何を物語っているのか」を探った。

シフトの理由
「さあ、どれくらい短くなるのか。やはり時間を考えると、明石になるんじゃないですか」県内トラック業者の目を明石に向けさせる最大の要因は、運行時間が短縮されることへの期待だ。アンケート調査からも、それは一目瞭然(りょうぜん)。これまでの運行経路を神戸−鳴門ルートに「一部変更」「全部またはほとんどを変更」と答えた業者のうち、34・1%が理由として「時間短縮」を挙げている。次いで「コスト」(25・8%)「行き先」(15・2%)「積み荷」(8・2%)「フェリー減便」(4・7%)の順。時間短縮とコストが2大要因で、この2つが全体の60%を占めた。「基本的な流れは明石。早い上に安いから、小口荷物を中心に大幅にシフトする可能性もある」が大方の見方。直接的なメリットを期待する業者が圧倒的だ。
「時間が勝負」の宅配便業界は、「集荷時間を遅くできる」など、時間短縮が顧客サービスの拡充に直結しているだけに、早速、メリットを最大限に生かせる配車構想を模索している。地域別にみると、高松の40・4%、大川の50・0%が、それぞれ「時間短縮」を挙げたのに対し、中・西讃は「コスト」が37・8と最も多く、「時間短縮」の24・2%を13・5ポイント上回っている。
現在の運行経路を大鳴門橋と淡路フェリーの併用としている業者は、約1時間半短縮できるとあって、期待は大きい。半面、中・西讃には中国や九州方面への輸送をメーンにしている業者が比較的多く、京阪神向けに対しては、時間短縮よりコスト軽減の方に明石の魅力を感じているようだ。
| (1)シフトの理由 |
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新通行料金では、瀬戸大橋に比べ、明石大橋経由が片道で4000円近く安くなるとの試算もある。時間短縮は地域によって偏りがあるが、コストは全域で享受できるメリット。
地域を問わない、有力な明石シフト要因といえる。
明石開通後のデータを基に検討したいが、今のところ、猪ノ鼻峠を越え、吉野川に沿って東進、美馬インターから徳島道を走るコースを考えている」とは三豊運送。西讃から意欲的に明石をうかがっている。
しかし、地場大手の中には、独自のシミュレーショに基づき、「瀬戸大橋も明石大橋経由も運送時間は同じ」と分析するところもある。高松以東の高速道の整備の遅れを危ぐする声は根強い。
「県内の高速道路が全通すれば、シフトを考えますか」の問いに対して、「一部変更」「全部またはほとんど変更」と答えた業者は現時点よりほぼ3ポイント高い68・4%。東讃の道路事情がシフト決断の壁になっているようだ。
「結局、実際に走ってみないと何も分からない」とはいえ、各業者とも、時間短縮、コスト、行き先、積み荷などの要因に、燃料費やドライバーの労働時間などを加え、最良策を検討する段階に入った。さまざまな運行スタイルを想定した上で、自社にあった明石対策を見いだそうと懸命だ。

明石に備えて
「明石の開通に備え、対応を考えているか」との設問には、34・1%が「考えている」と答えた。数として多かったのは、「考えていない」という“流れに任せて派”で、60・7%。しかし、保有台数20台以上が対象の調査で、零細業者も多いことを考え併せると、3社に1社が対応策を練っているという調査結果は、業界の危機感の高まりを端的に示す数字といえよう。
内訳は、「共同配送など輸送の効率化、合理化」が24・5%、「物流拠点の新設・拡充」が9・6%。両方取り組んでいる社も3・7%あった。「関西大手資本との競争激化は避けらない」というのが、こうした“積極派”の共通認識だ。
三豊運送(本社観音寺市)は7年秋から、四国各県の同業四社と「四国五社会」を発足させ、週2回、幹線ルートごとに担当業者を決めて、荷物を振り分ける共同運行を始めている。効率的配車を実現することで、1社ごとの弱さを補おうという試みだ。
香川版として香川物流ネットワーク共同組合などがあるが、「同じエリア内の組合方式は、厳しい経済環境下では難しい」という声もあり、ブロックごとにリーダーを決めて連携しようという動きも出ている。
朝日通商(本社国分寺町)は、同組合のメンバーであると同時に、この方式にも乗り出している。小口荷物を振り分けるスルー型の拠点を設け、拠点までは各社が担うが、それからの配送はリーダー社が担当する仕組み。
物流拠点の新設などは、佐川急便や福山通運などの大手が徳島に新拠点を設け、香川から関西以東方面の荷物をシフトさせる計画のほか、地元業者も志度毎日運送(本社志度町)などが、倉庫や荷受けの拠点を東に求める計画を進めている。
全体的には、ここでも瀬戸大橋は中国から九州筋の荷物を、明石海峡大橋は関西以東の荷物を担うという認識がベースとなっており、それに合わせた輸送の効率化策や施設展開が目立っている。

| (2)どこから明石にシフトするのか |
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影響はどこに
主な質問と回答(単位%)
Q1、本州−四国間の運行は現在、主にどの方式を利用しているか。
- 瀬戸大橋 24.8
- フェリー 19.1
- 瀬戸大橋とフェリーの併用 50.4
- 大鳴門橋とフェリーの併用 5.7
Q2、現在の運行経路を明石大橋経由に変更する計画はあるか。
- 変更しない 30.0
- 一部変更する 58.5
- 全部かほとんどを変更する 6.9
- その他 4.6
Q3,4月から本四連絡橋の通行料金が改定され、現行よりやや安くなる。新料金についてどう思うか。
- いずれも高い 69.2
- 瀬戸大橋は妥当だが、明石大橋が高い 7.7
- 明石大橋は妥当だが、瀬戸大橋が高い 10.0
- いずれも妥当 10.0
- いずれも安い 0.8
- その他 2.3
Q4、県内の高速道路は、高松市内区間や津田−鳴門間が当初計画より遅れており、全面開通は早くても3年後になる見込み。県内の高速道路が全通すれば明石大橋経由へのシフトを考えるか。
- 全面移行したい 6.9
- 一部移行したい 61.5
- 関係ない 31.6
5、明石大橋の開通に向けて物流拠点の整備、共同配送など何らかの対応を考えているか。
- 物流拠点の新設・拡充 9.6
- 共同配送など輸送の効率化、合理化 24.5
- 考えていない 60.7
- その他 5.2
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明石海峡大橋が開通すれば、全部あるいは一部を明石にシフトすると答えた業者は、従来はどのルートを使っていたのか。言葉を変えれば、明石は既成のどのルートにインパクトを与えようとしているのか。
分析結果は、次のようになる。1位は「瀬戸大橋とフェリーの併用」で54・1%、2位が「瀬戸大橋」20・2%、3位は「フェリー」16・4%、「大鳴門橋とフェリーの併用」はぐっと下がって5・8%。数字の上では、ここでも瀬戸大橋が最も痛手を被ると出た。
これを業者の本拠地の地域別に、細かく分析したのが図2だ。従来はそれぞれ瀬戸大橋かフェリーを主に使っていた業者に、地域性が象徴的に表れている。
中・西讃の業者は、瀬戸大橋からのシフトが40・5%を占め、フェリーからはゼロ。高松の業者は逆に、フェリーからの変更が28・5%なのに対し、瀬戸大橋からは4・7%。大川地区の場合は、大鳴門橋とフェリーの併用業者(この場合のフェリーは淡路からが大半)の半数が、明石へのシフトを考えている。
「この傾向はよく分かりますよ」と言うのは、三豊運送(本社観音寺市)の北野孝雄常務。同社は丸亀、高松にも支店を持つが、現行のメーンルートは、観音寺、丸亀が瀬戸大橋、高松がフェリー。メーンを変えないのは丸亀だけで、観音寺と高松は、明石ルートを検討したいという。
朝日通商(本社国分寺町)の後藤耕司専務も、「関西以東の時間を要求される小口荷物は、明石に流れる」と見る1人。従来から「時間を重視するなら橋、コストならフェリー」が大まかな使われ方だったが、今度は橋が2つになる。京阪神以東の特に小口荷物に限れば、瀬戸大橋の競争力は時間もコストも明石に及ばないという見方だ。
道路公団の調べでは、高松市の五番町交差点を起点にした大阪・吹田インターまでの距離は、瀬戸大橋ルートが246キロ、明石海峡大橋ルートが208キロ。わずか38キロの微妙な差が、橋料金の差と相まって、業界の「瀬戸大橋離れ」を促しているように見える。
山田明広、泉川誉夫、山下淳二が担当しました。
(1998年3月2日四国新聞掲載)
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