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米朝会談

2018/06/13

ドラマは第2章へ 平和へつながるか

 歴史は筋書きのないドラマを生み出す。数カ月前は米軍が北朝鮮の核施設を軍事攻撃するのではないかと言われるほど緊迫していた。米大統領は「リトルロケットマン」と北朝鮮の若き指導者をバカにし、それに「おいぼれ」と反論するなどののしり合った。その二人が史上初の米朝首脳会談にのぞみ、互いに背中に手を回しまるで恋する若者のようにほほ笑み合う。「非核化の保証がない」「まただまされるのでは」と専門家の評価は高くない。しかし、しばらくの間、戦争は遠のいたわけだし、本当の朝鮮半島和平実現のためにわが日本も本気になって協力すべきなのではないか。

 劇的な会談をテレビで見続けながら、31年前を思い出していた。1987年の6月12日、私はベルリンのブランデンブルグ門の前でレーガン米大統領のスピーチを聴いていた。大統領は「壁」に向かってこう叫んだ。「Tear down this wall(この壁を壊しなさい)」。ソ連のゴルバチョフ書記長に向けた言葉だ。レーガン同行記者団のわれわれは西ベルリン側。高いプレス席からは壁の向こう側に何千人もの東ベルリン市民がレーガン演説に耳を傾けているのが見えた。感動のあまり長い記事を東京へ送ったが、載ったのは10行ほど。その2年後に本当に壁が壊され、冷戦が終わり、東西ドイツが統一するなどとまだだれも思っていなかったのだ。

 今回もそれに似ている。独裁者と何をしでかすか分からない大統領だから、世界中が「どうせ口だけだろう」程度の受け止め方だった。昨年暮れだったかテレビで「米朝首脳会談があるかもしれない。もし二人が会うことになったら、互いの髪型を褒め合うところから始まるのでは」などと言ったら、ネットなどでたたかれた。専門家ほど「あり得ない」と言っていた。トランプ大統領の本音は11月の中間選挙のための宣伝材料だとか、ノーベル平和賞狙いだとか、さまざま言われている。それが動機だったとしてもだからダメだとは思わない。結果が平和につながるのであれば、動機は何でも構わない。

 さて日本としては拉致被害者を全員、日本へ帰国させなければならない。トランプ大統領が米朝首脳会談で持ちだしてくれた。その上で「交渉はこれからだ」と記者会見で述べた。ここから先は日本政府の仕事である。北朝鮮が望んでいる経済的支援については米国も日本の役割と踏んでいるだろう。北朝鮮は日本に対し戦後賠償を要求するものとみられ、そのほかにもさまざまな形での支援を求めてくるだろう。日本としては「拉致被害者の全員帰国」を条件に、それがない限りビタ一文出さないという姿勢を貫かなくてはならない。

 いくつかの印象に残る言葉が米朝首脳会談にあった。トランプ大統領は「戦争ゲームは終わる」と言った。記者会見では米韓合同軍事演習は金がかかるので縮小、いずれはやめたいという意味のことを言った。在韓米軍撤退も視野に入れているように聞こえた。そうなると、わが国の在日米軍はどうなるのか。わが国の安全保障はどうなるのか。

 金正恩委員長は言った。「ここまで来るのは簡単なことではなかった。これからは素晴らしい出発点となる。大統領と巨大な事業を始める決心だ」。そして「世界は変化する」と言い切った。本音をひた隠しにしてうそを言っているようには思えない。言葉数はそう多くなかったが、若者らしく思ったことをそのまま言っているように見えた。

 今回の米朝首脳会談の実現は、従来の米国型外交ではあり得なかった。外交の実務を取り仕切る国務省は次官、局長ら幹部ポストが多数空席だ。実際にはホワイトハウスとCIAが取り仕切っている。だから外交の前例にないとんでもないことができる。それに大統領の個性が混ざり合い、ドラマが生まれた。金体制への「体制保証」を大統領は与えた。それが具体的に何を意味するのかは判然としない。敵視政策を取らない、軍事攻撃はしない、ということなのか、それとも将来にわたる金ファミリーの支配を保証するということなのか。

 金委員長は若い。年齢も諸説あるが、日本の人気政治家小泉進次郎氏より三つほど若い。金ファミリー支配体制が続くなら、あと40年ぐらいトップの座にいることもあり得る。さて、近隣の国としてこれからどう付き合っていくか。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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