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日大アメフット問題

2018/05/26

宮川君の謝罪会見、立派

 この1年ほどおびただしい数の謝罪、釈明の記者会見を見てきた。その中で「ああ、そうだろうな、この人正直だな」と思ったものは一つもなかった。唯一の例外が日大アメフット部の宮川泰介君(20)の会見である。関西学院大の選手を故意のルール違反のタックルでケガをさせた加害者である。テレビでこの会見を見ていて、うそをまったく感じなかったのは筆者ばかりではなかっただろう。何も守ろうとしていない。自分さえも守ろうとしていない。ひたすら真実だけを明らかにする。見ていて涙が出るほど立派な態度だった。

 その翌日、日大の監督、コーチが記者会見した。言い分は宮川君とはっきりと食い違っている。両方の記者会見をすべて見た立場から言えば、だれが真実を語っているか歴然としている。監督の言動によって日本最大の大学教育機関である「日大」のブランドイメージは大きく傷ついた。取り戻すには10年単位の時間が必要だろうと思えるほど傷ついた。しかし、それをいくらか救ったのは宮川君の潔さだった。「あんな学生ならぜひうちでほしい」と思った企業経営者は少なくないのではないか。

 アメリカンフットボールはそもそも選手個人が自分だけの判断でプレーすることがほとんどないスポーツである。戦況の変化に対応して戦略はめまぐるしく変化し、細かい指示が電波で飛んでくる。だから何が起きたかをアメフットに詳しくない人でも直感的にわかる。監督、コーチサイドに立つのは日本大学だけである。「危機管理学部」なるいま風の学部を持つ大学とは思えないほど危機管理になっていない。危機管理の反面教師の教材を提供しているのか、と皮肉を言いたくなるほどひどい。あれではいま日大という10万人を超える巨大な教育機関で学ぶ学生たちが救われない。どれほど情けない思いをしているか。日大が守ろうとしたのは「常務理事」の内田正人前監督であって、そのために何万人もの若き学生の心を傷つけてしまった。

 政治家も官僚も企業経営者たちも、謝罪、釈明会見のやり方を宮川君に学ぶべきだ。テレビで見ていた多くの人が感動さえ憶えた宮川君の会見は真実を語ることに重きを置きつつ、ケガをした相手チームの選手へわびる気持ち、そして指示をしたとされる監督やコーチを非難することなく「自分で正常な判断をすべきだった」と語った。弱冠二十歳にしての見事な説明である。それに比べてわが国の指導者たちの言葉の軽さよ、説得力のなさよ。記者会見の間に見せた宮川君の表情は、会津の白虎隊もかくやと思わせるほど凛としていた。このような表情を政治家や官僚や企業経営者に見たことがあるか。

 それにしても、日大広報部主催の記者会見のお粗末さにはがくぜんとした。司会者が立場も名前も明らかにせず記者会見を打ち切ろうとする。このことによって日大当局が何をしようとしているのかかえって明確になった。世間の誤解を少しでも解き、イメージ悪化を食い止めようというのではなく、大学の実力者の1人である内田常務理事を守ろうとしたのである。この期に及んで内田氏がなぜ常務理事の座を降りないのか。その座に座り続ける限り大学の名誉を取り戻すことはできない。

 宮川君はアメフットを続ける気持ちはないと断言した。「自分にはその権利がない」と言い切った。「任務を続行することが自分の果たすべき責任」と居座るこの国の偉い人たちに比べ何たる潔さ。残念な気もするが、その決断は間違っていないだろう。監督が選手の就職や人生の将来設計まで握っているような日大アメフット部を辞めて新たな道を選択するのはきっと正しいのだろう。君が犯した罪は決して軽くはない。しかしながらそれを償っても余りあるほど、君は日本社会に何が大事かを教えてくれた。みんなが忘れていた大事なことを思い出させてくれた。君に感謝の気持ちを伝えながら、これからの君の人生に幸あれと祈る。がんばれ宮川君。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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