天気予報を見る
 
新聞購読申込
連載TOP > 連載 > 田勢康弘 愛しき日本 > 記事詳細

連載

 
 
 

北方領土

2016/09/05

「ひょっとすると…」

 日本とロシアの日ロ関係がにわかに動き出した。ひょっとするとひょっとするかも知れない。北方領土問題は山あり谷ありで70年間、結局解決にこぎつけられなかったのだから、ここで過大な期待は禁物だが、これまでとどこか違うムードが漂っているように思う。安倍首相とプーチン大統領、日ロ双方ともに強力な指導者がいるいま解決できなければ、この先に好機が訪れることはもうないだろう。

 日ロ関係の軸は日本側から見れば北方領土問題、ロシア側から見れば経済協力だ。同床異夢のようだが、互いに相手の立場も狙いもわかりすぎるほどわかっている。4つの島のうちどこまでを日本に返還するかがポイントであることは間違いない。これまでも4島返還を建前にしながら、2島、3島、3・5島などさまざまな数字が飛び交ってきた。いま安倍首相周辺は「新しいアプローチ」という目的のために、これまでのはじめに数字ありきではない「サプライズ」を考えている。結果として数字がついてくるにしても「そういうことならば」と日本国民の大半が納得できるようなことを考えろという指示が首相から出ているという。

 筆者も10年ほど前、小泉政権当時、両国の有識者で構成する「日ロ賢人会議」(外務省所管)の日本側7人のメンバーの一人として、ロシア側と領土問題での激しい応酬に携わってきた。議論を積み重ね、双方の政治指導者に提言するというのが役目だった。この会議はモスクワ郊外の大統領別荘で行われることが多かった。会議の途中、ヘリコプターの轟音(ごうおん)が聞こえ、ロシア側メンバーの顔色が変わる。中庭に降りたヘリからプーチン大統領が一人でこちらへ歩いてくる、右手をポケットに入れ、やや傾きながら、秘書官もボディーガードも連れずに、会議の部屋に入ってくる。

 そこでいきなり日本との関係について15分ほどスピーチをする。まったくメモ一つ持たず、きわめて正確な話だった。終わると日本側メンバーと写真を撮り、一度も座ることなくヘリに乗り込んでクレムリンへ戻って行った。ロシアにとってみればそれほど重要な国というわけでもない日本についてあれだけの話ができるということは、世界の主要な国々であればどことでも同じことができるということなのか。首脳会談の冒頭の挨拶(あいさつ)でさえ、メモを手にする日本の政治家と思わず比べてしまった。

 クレムリンなども含めて3回、プーチン大統領に会った。世界中のたくさんの指導者にこれまで会ってきたが、米国大統領、中国のリーダーなどを含めても、筆者にもっとも強烈な印象を与えたのは、この人である。ついでに言えば2番目はレーガン米大統領、3番目は中国の胡耀邦総書記、続いてサッチャー英首相、金大中韓国大統領の順だろうか。

 ロシアでのプーチン人気はすごい。常に8割を超えているが、昨年10月には89・9%を記録した。もちろんシリアへの空爆などロシア国民のナショナリズムが昂揚(こうよう)していることも影響しているだろうが、全体主義国家並みの高さである。一方で安倍首相も6割前後の支持率を維持している。国益をかけた2国間交渉は、当然のことながら一方的勝利はあり得ない。すなわち今回で言えば、4島すべての返還でロシアが合意するということは考えられない。4島即時全面返還という立場の人々には必ず強い不満が残る。それを押し切ることは政権基盤の安定したリーダーでなければできない。

 16年前になる。8月の下旬に択捉島に行った。島民の墓参に同行する形で根室から北海道庁の船で行った。夏だというのに水温は13度、まったく人間の手が入っていない大自然がそこにあった。人間よりヒグマのほうが多いと聞いた。この壮大な景色が日本に戻る日まで生きていられるだろうか、と考えた。そしていま思う。ひょっとすると…。

 一つクイズを。「日本の島の名前を大きな島から順番に言ってみてください」。できますか? 正解は択捉、国後、沖縄本島、佐渡、奄美大島、対馬、淡路島の順でした。択捉は沖縄本島の2・7倍もあるのです。

 (政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

47CLUB(よんななクラブ)

47CLUB
全国の良質な品々を厳選してお届け

盆栽

盆栽
産地香川から盆栽文化をお届け

オンラインショップ情報

ショップ情報
オススメの買い物サイトをご紹介

讃岐囲碁サロン

讃岐囲碁サロン
ネットで世界の囲碁ファンと対局!

みみより新聞

みみより新聞
視覚障害者向けニュースサイト

住宅展示場情報

住宅展示場
家造りに関する情報盛りだくさん

健康新聞

健康新聞
元気な暮らしに役立つ情報を紹介

ちょこっと広告・パネット

パネット
四国新聞を伝言板として使おう!

求人情報紙・ジョブ

ジョブ
週刊発行!チラシタイプの求人情報

おりーぶ通信

おりーぶ通信
女性通信員のページ

▲このページのトップに戻る
購読のお申込みは0120-084-459

SHIKOKU NEWS 内に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

Copyright (C) 1997- THE SHIKOKU SHIMBUN. All Rights Reserved.