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舛添都知事辞職

2016/06/20

「知名度」優先の悲劇

 舛添要一東京都知事の問題で、考えなければならないことがたくさんある。ご本人のいう「不徳の致すところ」だとしても、候補者として彼を推した政党や選んだ有権者には責任はないのか。「当選」を再優先にして知名度だけで候補者を選べばこうなる。今回の騒動から教訓を得なければ、大山鳴動鼠(ねずみ)一匹で終わってしまう。

 「せこい」という言葉がニューヨーク・タイムズにまで登場した舛添都知事問題。そもそもなぜ彼は「辞職」せざるを得なかったのか。都議会での最後の発言で述べた辞職の理由は「都政の混乱・停滞は私の本意ではない」ということだけで、都知事として間違ったことをしたとは言っていない。ならば、何か法に触れるようなことがあったのだろうか。「第三者」と称する弁護士の報告書は信憑(しんぴょう)性に欠けるとしても、せいぜい政治資金報告書の虚偽記載ぐらいのことだろう。「せこい」という流行語大賞候補有力の言葉は、人格を蔑(さげす)む効果はあっても、違法性の証しにはならない。そこに舛添氏の乗り切れるという甘い判断の根拠があったのだろう。

 舛添氏が東大助教授だったころ、10人ほどの勉強会で一緒だったことがある。東大法学部卒で教授になるわずかなエリートは大学院へ進まずに助手から助教授、教授と進んで行くと言われた時代、舛添氏はそのコースに乗っていた。英語、フランス語ができ、論理明快な話し方が強く印象に残っている。テレビに出ても政治家になり閣僚になってもそのイメージは壊れず、「総理にしたい人物」アンケートの1位にもなった。

 それが、どうしたことか、説明にならないばかりか、話せば話すほど墓穴を掘る。順調な人生を送ってきたように見えるスーパーエリートは、危機を乗り切る術をまったく持ち合わせていなかったということか。長いこと政治の世界を観察してきて、似たような状況に何度も出くわしたが、政治家が辞任に追い込まれる典型的なパターンが今回だ。謝り方の基本ができていない。スキャンダル、とくに政治家のスキャンダルに対して世間は感情で反応する。にもかかわらず、それを理屈で説明しようとするから説得できない。おまけに嘘(うそ)があれば、そこからまたほころびが出る。謝罪のコツは、(1)まずすぐに謝る(2)まだ報じられていないことを一つ自ら告白し、正直だ、と印象づける(3)ひたすら詫(わ)びる―これ以外にないと思う。舛添氏はこれとは逆の姿勢で乗り切ろうとして失敗した。どんなに味方だと思っても、政治の世界は自らの身が危うくなれば、殺しにかかってくる。この意識も舛添氏は薄かったのだろう。「裏切られた」と舛添氏はつぶやいたといわれるが、未熟だったとしか言いようがない。

 舛添氏に関わる話題は庶民感覚でわかりやすいものが多かった。海辺のよく知られたホテルや、回転寿司の領収書、高額でない絵画の購入、公用車の私的利用など。そもそもが海外出張でのファーストクラス利用、ホテルのスイートルーム滞在、そして「都知事はトップリーダーですよ」という発言。それを自分で言うか、と世間は強く反発した。

 メディアにとってはオバマ米大統領の広島訪問のあと、話題としては格好の材料だった。「せこい」話に人々の関心はどんどん強まっていった。「辞めるほどの話か」という論調もないわけではないが、かき消されていった。世論の反応には米大統領選のトランプ候補の人気に共通するものを感じる。トランプ氏は「見習い」というタイトルのテレビ番組で人気を集めた。米国内のスーパーエリートたちを集め、2組にわけて街頭での物売りなどをさせて勝敗を競う。負けたチームになぜ負けたかを内部で議論させ、責任のある人物を絞り込む。その人物に向かってトランプ氏は「おまえは首だ!」と叫ぶ。並みいるエリートたちがぼこぼこにされる姿に視聴者は喝采を送る。

 歴代東京都知事の顔を思い浮かべると、評価が真っ二つに分かれる美濃部亮吉氏をのぞくと、比較的安定した都政だったかな、と言えるのは東龍太郎、鈴木俊一両氏ぐらいか。青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一の各氏と最近は知名度優先が目につく。さて、だれが出てくるのか?

 (政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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