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マイナス金利

2016/02/22

金融緩和策の落とし穴

 アベノミクスの3本の矢が話題になったころ、1本目の金融政策、2本目の財政政策はまずまずだが、3本目の成長戦略が問題だ、と多くの経済学者やアナリストは言っていた。私は日銀の金融緩和だけに依存した1本目の矢こそ問題ではないかと思っていた。量的質的金融緩和が行き詰まったのか、黒田日銀は大ばくちを打った。「マイナス金利」である。劇薬ともいわれるマイナス金利、効果が出ているとは言い難いが、さらなる金融緩和に出るとしたら、マイナスの拡大以外にない。

 マイナス金利が金融政策として妥当なものかどうかだれも確かめていない。マイナス金利を導入した国はデンマーク、スウェーデン、スイス3カ国だけ。デンマークでは通常の預金金利もマイナスという銀行も出ているし、驚くのは住宅ローンの金利がマイナスのところもある。すなわち、銀行から住宅ローンを借りると、銀行が金利を支払ってくれる。だから、若者でも住宅が手に入るということで、大変な住宅建設ブームだという。銀行は貸せば貸すほど損をするわけだから、健全な資本主義とは言えない。

 黒田総裁は「一般の預金金利がマイナスになることはおそらくないだろう」と述べているが、絶対にない、とは断言していない。論理的にはあり得るのである。

 金融機関が日銀に預けている資金(当座預金)はおよそ260兆円といわれているが、これまでは0・1%の金利がついていた。この当座預金にマイナス金利を導入することで、このうち10兆円ほどをマイナス0・1%、40兆円ほどをゼロ金利、残りは従来通りプラス0・1%の利息をつける。全体からすれば大した額ではないが、それでも金融機関は数百億円単位で日銀から当座預金を引き上げる。これまで金融機関は日銀に預けるだけで0・1%の利息を稼いでいた。3大メガバンクの預金金利は1年もの定期で0・025%、銀行はその4倍もの利息を日銀から受け取っているのだ。これなら苦労して借り手を探したり踏み倒されるリスクを考えれば、何もしないで預けておく方がいい。こんな理解に苦しむような金融政策がまかり通っているのだ。

 三井住友銀行はついに0・001%の低金利を設定した。10万円を1年預けて1円の利息。振込手数料にも達しない。デンマークなどでは大型の金庫が売れているという。ここまで金利が下がるとタンス預金のほうがいいということになる。一方で住宅ローンの金利も下がって、住宅販売の回復に期待がかかっているが、円安による資材高騰や人手不足などで住宅価格が跳ね上がっているため、さほど効果はないようだ。

 正月以来東証株価が乱高下したり、為替が円高に振れているのは中国経済の失速や原油価格の下落が主たる要因として政府は日本経済のファンダメンタルは決して悪くないと強調している。すなわちアベノミクスの失敗などではないと言っているのだ。そうだろうか。株価が上がっている時は「株価が証明している」と胸を張っていた安倍首相は、このところ「短期の株式市場の上下に一喜一憂すべきではない」と言っている。株価が好調な時はアベノミクスのおかげ、下がれば海外要因という都合のいい使い分けをしている。それにしても、と思う。マイナス金利がうまく行かないことを案じてか、安倍首相と黒田日銀総裁が会談した。会談の結果、何かが決まったということもないようで、何を話し合ったのか、単に責任をなすり合っただけなのか、疑心暗鬼が渦巻く。本来、政治的に中立であるべき日銀総裁としては、言動があまりに政治的すぎないだろうか。

 繰り返すが、最大の問題はこれまで続けてきた金融緩和策なのである。「緩和」という日本語にはどこか「引き締め」よりもほっとさせるような響きがある。マイナス金利という劇薬を、まったく是否を議論することもなく日銀の独断で実施する。その結果責任はだれが負うのか。いつまで効果のない金融緩和を続けるのか。いつどのような形で緩和をやめるのかといういわゆる出口論の議論さえない。国会は一体、何をしているのか。政治家の程度の低い言動ばかりに時間を割いていていいはずがない。政治レベルでの金融論をすぐに始めるべきだ。

 (政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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