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新3本の矢

2015/10/05

気になる危機感の欠如

 「一にも二にも三にも私にとって最大のチャレンジは経済、経済、経済であります」。安保法成立を成し遂げた安倍首相はGDP(国民総生産)600兆円をめざす「強い経済」を政策の主軸に掲げた。そしてアベノミクスで流行語にもなった「3本の矢」に代わる「新3本の矢」を打ち出した。世界経済が大転換期にあるいま、果たしてアベノミクス第2弾は奏功するのか。

 3本の矢は安倍首相の選挙区である山口県の武将毛利元就(1571年死去)が死の直前、隆元、元春、隆景の3兄弟を呼んで、1本の矢は折ることが出来るが、3本束ねると折れない、3兄弟力を合わせるようにと諭したいわゆる「三矢(し)の教え」にちなむ。第2次安倍政権発足直後、金融、財政、成長戦略の3本の矢を放ち、デフレ脱却、成長をめざすとアベノミクスを打ち出した。金融は日銀の金融緩和政策、財政は公共事業拡大、そして3本目の矢の成長戦略が問題、といわれて来た。

 その成長戦略が見つからないまま、新たな3本の矢を打ち出すことで、安保法制でやや陰りも見える安倍内閣の支持率を食い止め、来年夏の参院選に臨むという戦略である。皮肉な見方をすれば旧3本の矢の成長戦略作りの失敗を認めたようなものだ。もともと1本目の矢の金融政策も正しい政策とはいい難い。日銀が大量に国債を買い集め、日銀の国債保有残高は8月で300兆円を突破した。すなわちGDPの6割にあたり、市場で流通する国債の3割を日銀が保有していることになる。GDP割合でこれほど多額の国債を保有している中央銀行はない。このまま放置すれば2018年にはGDPを超えるのではないかという観測もある。その先には国債の金利暴騰、格付けの下げから始まる悲惨な結末が待ち構えている。

 そして安倍政権が新たに掲げた「GDP600兆円」という大目標。極めてわかり易い目標だけに、どこか怪しさがつきまとう。わが国のGDPは13年480兆円、15年は500兆円。しかしこれを米ドルで見ると12年の5兆9540億ドルから15年は4兆2100億ドルに大幅に減っているのである。いうまでもなく円安のためである。したがって円建てでGDPの目標を設定しても、世界にはあまり通じない。

 新3本の矢は(1)「強い経済」(2)出生率1・8をめざす子育て支援(3)介護離職ゼロ―が軸。これらを総合して少子高齢化社会に立ち向かい「1億総活躍社会」をめざすというのが新たなアベノミクスである。広告代理店のキャッチコピーのような言葉の使い方のうまさは感じるが、何をしようとしているのかが分からない。また、中国経済など世界の不安定要因がたくさんある中で、あまりに楽観的な、危機感の欠如に驚いてしまう。全国民がみな活躍できるような社会、そんな社会が実現するのであればこれに異を唱える人はいない。しかし、そのために何をどうしようとしているのか、その真意を探ろうとしても、心に伝わって来るものが何もない。1億総活躍社会、子育て支援、介護離職ゼロ、反対できないような美しい言葉が並んでいるだけで、何をどうしようとしているのか。これでは「誇大広告」にすぎないという批判にどう応えるのか。おまけに7日の内閣改造では「1億総活躍社会担当大臣」が任命されるらしい。だれが何をしてくれるのだろうか。内閣支持率向上が狙いだけの人気取りでないことを切に願うばかりだ。

 これまでも本欄で指摘してきたように、1050兆円を超えたわが国の借金、国民一人当たり800万円に達する借金。これは国家破綻の危機に直面するギリシャどころの話ではない。ギリシャはせいぜい40兆円ほどの債務であれほど苦しんでいる。安倍内閣も財政の健全化に取り組む姿勢は示しているが、まずは「成長」ありきだ。真剣に考えないと、世界経済の激動の波を乗り切ることができないばかりか、わが国が世界恐慌の引き金を引くことにもなりかねないのだ。

 (政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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