天気予報を見る
 
新聞購読申込
連載TOP > 連載 > 田勢康弘 愛しき日本 > 記事詳細

連載

 
 
 

世界経済をどう見る

2015/09/07

これからは低成長時代

 この先、景気はどうなるのか、と株価や為替相場の乱高下するグラフを眺めてため息をついていても、見通すことはできない。アベノミクスはどうなるのか、などと日本国内のことだけ考えてもあまり意味はない。いま世界経済は大転換期にある。構造的に何が起きているのかを理解することが大事である。

 トルコのアンカラで開かれた日米欧に中国など新興国を含めた主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)は、世界経済の混乱要因である中国がいわば"被告席"に立った異例の会議となった。

 中国で何が起きているのか。結論からいえば、まず中国やロシア、ブラジルなどかつてBRICSと呼ばれた新興国の「工業化」の時代が終焉(しゅうえん)したのである。つまり製造業で急成長した時代は終わったのである。これからは付加価値の高いサービス産業へ転換して行かなければならないが、その切り替えには時間がかかる。それまでは低成長にならざるを得ない。その期間も20年くらいは続くだろうと見られている。新興国の低成長で世界経済は規模が縮小する。これが中国でも起きていることの一つ。

 もう一つの問題は中国が正しいルールのもとで動いていないということを世界が懸念しているということである。権力を用いて上海の株式市場に半ば介入している。また事実上の元の切り下げを念頭に置いて「競争的通貨の切り下げ」にG20は警鐘を鳴らした。元の切り下げが世界同時株安につながったことは中国自身も否定はしていない。また、長年にわたり巨額の投資を続けて来た中国では生産設備の過剰と、さばき切れないほどの在庫が大きな問題となっている。さまざまな懸念から、中国からの資金流出は続き、もはや中国には明るい材料は見当たらない。これは突き詰めていえば、中国の政治・経済・社会全般にわたる構造的問題である。

 大衆の不満をなんとか抑え、政権の基盤強化に躍起になっている中国では、構造的改革まで手が届くまい。中国経済が立ち行かなくなると、中国に深く関わって来たドイツがおかしくなる。もっとも資金提供している英国、フランスなども苦境に立つ。経済で中国にすべて寄りかかっている状態の韓国は、中国要因がなくとも厳しい経済状態に追い込まれると見られる。

 もちろん、日本も高みの見物というわけには行かない。共倒れにならないよう、また、世界経済全体が落ち込まないよう考えなければならない。つい2、3カ月前までアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立で鼻高々と「日本はどうして参加しないのか」と問い掛けて来たあの雰囲気は、いまの中国にはもうない。それどころではない、というところまで追いつめられているのだ。中国が「新常態(ニューノーマル)」という言葉で打ち出した「7%程度の成長」というこれまでより低い目標も、いまでは「実はもっとかなり低いのが実態ではないか」と経済統計そのものの信頼性が疑われてさえいる。

 続いて世界が注目しているのが、米国がゼロ金利政策をやめる、すなわち金利をいつ引き上げるか、である。9月中、あるいは年内という観測がある一方で、あまりにも影響が世界全体に及ぶので、引き上げは当分先送りするのではないか、という見方も出ている。とくに厳しい局面にある中国など新興国にとっては死活問題である。米国が金利を引き上げれば、世界中のマネーが金利の高い米国へと流れて行く。G20でも新興国などがその懸念を表明した。その結果、共同声明では「いくつかの先進国で金融引き締めの可能性がより高まっていることに留意する」と米国を名指しすることは避けつつも盛り込んだ。

 だが、米国の金融政策は米国自身のために行うものなので、他国の要請に応ずるようなことはしないのではないか。とすれば、世界経済の大波乱要因になる。

 日本政府は「日本の経済には自信を持っている」(菅義偉官房長官)と不安がないことを協調するが、いまや世界経済の動向と無関係に日本だけで自己完結するような経済はあり得ない。「成長なくして財政再建なし」が政府のお題目だが、成長するためには、1千兆円を超える借金、300兆円に達しようとする日銀の国債保有残高などが大きな超え難い壁として立ちはだかる。財政再建を放置していてはいずれ自信も砕け散ることになるだろう。世界経済はこれからうつむき加減になる。そのとき、日本だけが上を向いて歩こう、になれるかどうか。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

47CLUB(よんななクラブ)

47CLUB
全国の良質な品々を厳選してお届け

盆栽

盆栽
産地香川から盆栽文化をお届け

オンラインショップ情報

ショップ情報
オススメの買い物サイトをご紹介

讃岐囲碁サロン

讃岐囲碁サロン
ネットで世界の囲碁ファンと対局!

みみより新聞

みみより新聞
視覚障害者向けニュースサイト

住宅展示場情報

住宅展示場
家造りに関する情報盛りだくさん

健康新聞

健康新聞
元気な暮らしに役立つ情報を紹介

ちょこっと広告・パネット

パネット
四国新聞を伝言板として使おう!

求人情報紙・ジョブ

ジョブ
週刊発行!チラシタイプの求人情報

おりーぶ通信

おりーぶ通信
女性通信員のページ

▲このページのトップに戻る
購読のお申込みは0120-084-459

SHIKOKU NEWS 内に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

Copyright (C) 1997- THE SHIKOKU SHIMBUN. All Rights Reserved.