天気予報を見る
 
新聞購読申込
連載TOP > 連載 > 田勢康弘 愛しき日本 > 記事詳細

連載

 
 
 

危機の「演歌」

2015/06/08

時代を引き継ぐ歌を

 「歌」について書く。日本の大衆歌謡、いわゆる演歌がいまや絶滅寸前の状況である。何を大げさな、と思われそうだが、世代を超えて歌われ、次の時代にまで残りそうな歌謡曲がなかなか生まれない。曲も生まれないし、音楽ビジネスとしても、もはやじり貧と言ってもいいところまで来ている。何とかしなくてはいけない、と思い、筆者はたった一人で動き始めることにした。全国にいるであろう伝わる歌を歌える歌手を一堂に集め、B級グルメからタイトルを拝借し「全日本B級歌謡選手権大会」を開催しようといま各方面に働きかけている。

 あなたは若者が好んで聴いたり歌ったりしている歌をどう思いますか。どこがいいのかさっぱりわからない、第一、何を言っているのか聞き取れない、と感じていませんか。若者たちはいわゆる演歌のメロディーを「古くさい」と感じ、まず聴こうともしない。いわゆる大衆歌謡の世界は、完全に世代間で分離している。

 これはどこの国でも同じだと思われるでしょうが、実はこれほど顕著なのは日本だけである。日本で演歌歌手のコンサートへ行くと、来ている客は60代以上がほとんどである。比較的若い演歌歌手でも聴きに来るのは高年齢層が圧倒的に多い。

 隣の韓国では「トロット」と呼ばれる演歌は世代を超えて強い人気がある。コンサートも各世代の客がそろっている。日本の大衆歌謡にはいわゆるスタンダードと呼ばれるようなものがない。たとえば「みだれ髪」は美空ひばりの歌であり、だれもが歌うスタンダードとは言い難い。これはたぶん、レコード会社が絶大な力を持っていた一昔前の時代のなごりだと思うが、体質は変わっていない。

 皮肉なことに日本の大衆歌謡が危機に瀕(ひん)している原因を作ったのはカラオケだと私は考えている。そもそも家族でラジオから流れる歌を聴いていたころ、歌は「聴く」ものだった。カラオケの登場により歌は「歌う」ものになった。だれもが歌手の時代になったのである。人々は自分が歌いたいと思う歌を探し求める。制作する側もカラオケで歌ってもらえる歌を作る。歌って気持ちのいい歌、男性であれば少しお酒が入ったところで歌う歌は、湯の宿で雨の音を聴きながら道ならぬ恋に思いをはせる、というような不倫の歌が好まれる。この手の歌は内容からして家族の前ではなかなか歌いにくい。

 昔の歌には、愛も恋も無縁の歌がたくさんあった。三橋美智也「古城」、春日八郎「山の吊り橋」、美空ひばり「柔」、島倉千代子「かるかやの丘」などたくさんある。いまはそれを探し出すのが難しいほどである。たくさんの力のある作詞家が世を去ったことも大きい。星野哲郎、石本美由起、吉岡治、阿久悠…。ある著名な作曲家はこう打ち明けた。「曲の善しあしは6割方、詩で決まる。詩を受け取ったとき、身体が震えるような思いがすれば、メロディーは不思議なほど自然に湧いて来る。そういう歌はほとんどヒットする」。

 このごろは作詞、作曲、歌唱を一人でしたりするケースが多いし、詩よりも曲が先にできることも多い。NHKの紅白歌合戦の出場者を見ても、男女とも演歌の歌手は4、5人と激減している。50年以上の歌手も珍しくなく、若手といってもデビュー20年だったりする。いかに歌がうまくともせまい大衆歌謡のマーケットに入り込むのは至難の業である。全国的な知名度はなくとも、すごい実力の歌手は全国にたくさんいる。こういう人を集めて大会をする。歌の本当のすばらしさを知ってもらう、それだけが目標だ。たとえば、こういう歌手の名前をご存じだろうか。鈴木一平、小田純平、青木美保、清水節子、西山ひとみ…。みなソウルフルな歌い手だ。こういう歌手にスポットライトを当ててあげたい。「B級グルメ」は味では高級レストランに負けない、という気迫を感じる言葉。B級歌謡も同じでいささか謙遜した表現ながら、歌の実力はかなりなものという意味を込めている。まだ海のものとも山のものとも判断つきかねる段階だが、初めは一人の声でもいつかはみんなの声に広がって行くと信じている。どうか応援してください。日本の歌を再生させるために。  

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

47CLUB(よんななクラブ)

47CLUB
全国の良質な品々を厳選してお届け

盆栽

盆栽
産地香川から盆栽文化をお届け

オンラインショップ情報

ショップ情報
オススメの買い物サイトをご紹介

讃岐囲碁サロン

讃岐囲碁サロン
ネットで世界の囲碁ファンと対局!

みみより新聞

みみより新聞
視覚障害者向けニュースサイト

住宅展示場情報

住宅展示場
家造りに関する情報盛りだくさん

健康新聞

健康新聞
元気な暮らしに役立つ情報を紹介

ちょこっと広告・パネット

パネット
四国新聞を伝言板として使おう!

求人情報紙・ジョブ

ジョブ
週刊発行!チラシタイプの求人情報

おりーぶ通信

おりーぶ通信
女性通信員のページ

▲このページのトップに戻る
購読のお申込みは0120-084-459

SHIKOKU NEWS 内に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

Copyright (C) 1997- THE SHIKOKU SHIMBUN. All Rights Reserved.