天気予報を見る
 
新聞購読申込
連載TOP > 連載 > 田勢康弘 愛しき日本 > 記事詳細

連載

 
 
 

安保政策大転換

2015/05/18

「国民」置き去りの議論

  「日本」という国のあり方が変わる。従来の安全保障政策を大きく転換し、集団的自衛権の行使が可能になる。すなわち友好国が攻撃されたり日本の存立が脅かされる場合には武力で戦うことができるようになる。安倍首相は「厳格な歯止めを定め、米国の戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」というが、安保政策に関しては戦後、拡大解釈の歴史のようなものだった。いま歯止めをかけたつもりでも、戦争を避けられるという保証はない。憲法9条の改正にも匹敵するような重大な政策変更が、国民の判断を仰ぐことなしに行われる。次の世代に平和な日本を引き継ぐために一人一人が真剣に考えなければならない。

 国政選挙ではアベノミクスの成果で信を問い、大量の議席獲得で一気に「戦後」からの脱却を図る。国民は経済には関心を寄せるが、安保政策となると「よくわからない」というのが本音だろう。しかし、いつの間にか政治の流れが変わり、大転換がすぐそこまで来ている。日本は戦後、自分自身を守るための個別的自衛権を1度も行使したことがない。なのに、他国のために戦うことなどできるのだろうか。

 歴史を見ても、すべての大きな戦争は、ささいな地域紛争やテロなどをきっかけに拡大して行く。いまの内閣や国会が「絶対に戦争に巻き込まれることはない」と言ったところで、気休めにしかならない。

 われわれはともすれば日本の防衛力はさほど大きくはないと思いがちだが、大国並みであり、その強化は他国への脅威と映ることは間違いない。すなわち、中国や韓国などアジアの近隣諸国との外交関係にも影響を与えずにはおかないだろう。70年間、戦争をしたことのないわが国では「戦争」というものへの現実感がない。筆者はぎりぎり戦中派で、かつ父親が職業軍人だったから、若い人たちよりは戦争は忌避しなければならないという思いが強いだろう。しかも生まれたのは中国東北部(旧満州)だから、中国を仮想敵にするような安保政策には抵抗を覚える。

 その一方で地域紛争の多発や拡大一方のテロなど国際情勢が大きく変化していること、それに対してわが国がどうすべきかが問われていることなども理解できる。ただし、集団的自衛権行使について(1)日本の存立を脅かす明白な危険がある(存立危機事態)(2)他に適当な手段がない(3)最小限度の実力行使にとどめる―と明記しているが、実にあいまいな「存立危機事態」などをだれが何を根拠に判断するのかわからない。結局、ときの内閣が判断し、国会がそれを追認するということになるのだろう。現在の政治情勢のように「1強多弱」ではブレーキがかからない。野党のほとんどが反対しているような重要な政策転換をいかに与党絶対多数とはいえ、押し切ってしまうことで民主主義は維持できるのだろうか。

 同盟国の米国は高く評価するだろう。従来の制約がなくなるからだ。しかも米国の後方支援で地球のどこへでも出かけて行くことが可能になる。いずれ後方支援ではなく単独で米軍の代役を務めることもあるのではないか。具体的なケースを考えてみることにする。尖閣諸島を中国が軍事力で支配しようとしたときに何が起こるか。日米安保条約の及ぶ地域なので、米軍は軍事的に動くだろう。日本にとっては「存立危機事態」もしくは「重要影響事態」なので当然、集団的自衛権を行使し、米軍と自衛隊が統一指揮のもと中国軍に対峙(たいじ)することになる。少しでも交戦することになれば、これはもう「戦争」そのものである。「戦争に巻き込まれない」ためにこの場合、どうすればいいのか。おそらく現実には戦う以外に方法はないだろう。米軍だけが日本のために戦って、自衛隊は戦争に巻き込まれないよう静観する、などということができるはずがないと考える。

 安倍政権は通常国会の会期を8月中旬まで大幅に延長し、今国会で成立させる考えだ。野党もあまり頼りにならないし、国民の反対の声もさほど大きくない。マスメディアを含めて「モノ言えば唇寒し」の観があるだけに、このまま成立するだろう。憲法の解釈変更で断行した大転換、将来、いまの野党勢力が政権を取ることがあれば、解釈を元に戻して集団的自衛権の行使は認めない、ということになったりするのだろうか。季節は夏へと向かうのに、心の中を冷たい風が吹き抜ける。

 (政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

47CLUB(よんななクラブ)

47CLUB
全国の良質な品々を厳選してお届け

盆栽

盆栽
産地香川から盆栽文化をお届け

オンラインショップ情報

ショップ情報
オススメの買い物サイトをご紹介

讃岐囲碁サロン

讃岐囲碁サロン
ネットで世界の囲碁ファンと対局!

みみより新聞

みみより新聞
視覚障害者向けニュースサイト

住宅展示場情報

住宅展示場
家造りに関する情報盛りだくさん

健康新聞

健康新聞
元気な暮らしに役立つ情報を紹介

ちょこっと広告・パネット

パネット
四国新聞を伝言板として使おう!

求人情報紙・ジョブ

ジョブ
週刊発行!チラシタイプの求人情報

おりーぶ通信

おりーぶ通信
女性通信員のページ

▲このページのトップに戻る
購読のお申込みは0120-084-459

SHIKOKU NEWS 内に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

Copyright (C) 1997- THE SHIKOKU SHIMBUN. All Rights Reserved.