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地方創生

2014/09/22

「これが最後」の覚悟を

 「地方創生」がこれからの安倍内閣の新たな看板となった。「創生」の意味がいまひとつピンと来ないが、疲弊した地方に活力を、ということなのだろう。本気でやる気ならば、日本の仕組みや構造そのものを作り替えなければできるものじゃない。来春の統一地方選目当ての一時しのぎの看板で終わらないことを祈るばかりだ。

 筆者は人口減少率ワースト3位(平成25年)の山形県出身なので、このテーマには言いたいことが山ほどある。が、国の政策の失敗を間近で見てきているので、あまり期待もしていない。この1年間の減少率が最も高いのは秋田、ついで青森と東北が並ぶ。ちなみに四国は44番目(すなわちワースト4位)が高知、徳島39位、愛媛35位、香川は19位である。人口が増加したのは東京、沖縄、愛知、埼玉、神奈川、宮城、滋賀、福岡の8都県だけである。

 地方創生担当大臣に就任した石破茂さんに唐突な提案をしてみた。「東京駅から出発する列車、電車がすべて『下り』というのから直さないとだめでしょう」。石破さんは「えっ」と怪訝(けげん)な表情だったので、「『上り』『下り』の呼び方をやめませんか。ついでに『地方』も使わないことにしませんか」と提案してみた。冗談ではなく真剣な話である。すべて「東京」すなわち「1極集中」を前提にした言葉なのである。「この辺も最近はずいぶん交通の便が良くなりまして」というときは、ほとんど東京へ行くのが便利になった、という意味である。日本の交通網は歪(ゆが)んでいる。九州の大分から高松へ行かなければならなくなったとき、一番早いのは羽田経由だと知って驚いたことがある。青森から同じ東北の山形県酒田へも羽田経由で行ったことがある。悲しいのはこのことが異常だと感じている人が少ないことだ。

 日本中の人が、すなわち「地方」と呼ばれる地域に住んでいる人々さえも、1極集中を当たり前のことと受けとめている。この意識を変えて、いずれは「地方交付税」を返上するぐらいの気概を持たないと、いつまでたっても自立できないだろう。

 18歳、進路を考える。かなりの若者が都会の大学や就職先へと故郷を離れる。22、23歳で大学を卒業するころ、郷里に帰ることも一瞬、よぎるが、就職先がないと断念する。30歳すぎるころ、郷里の両親のことも考え、帰ろうかな、とも思うが、仕事がないから、やはり都会を離れない。仕事さえあれば、都会暮らしを切り上げたいと考える人は増えているのだ。

 ほんとに仕事がないのだろうか。会社勤めをしない覚悟があれば、起業だってあるだろうし、農業や漁業の第1次産業を選択する道だってある。いくらでもある働き口をなくしてしまったのは、戦後の農業や漁業、林業政策の失敗のせいである。戦後のすべての内閣が第1次産業振興を優先順位の上位に掲げておきながら、なぜに後継者がいないような産業になってしまったのか。すべては政治の責任である。そしてその政治に票を売り渡すことで保護政策を求め続けてきたいわゆる「地方」の自業自得でもあるのだ。

 石破さんにもこのことは言った。彼はうなずきながらもこう付け加えた。これまでのように国が上から目線で何かをしてあげるということでは絶対にうまく行かない。地域の人々が自分たちで考えて、こうするんだというものを出さなければ、できるものではありません、と。

 「街おこし」という言葉が昔からある。どうすれば、たくさんの人たちがこの街を訪ねてくれるか、と知恵をしぼる。でもそういう発想で考えられたプロジェクトはほとんど失敗に終わる。たとえばたくさんのテーマパークが全国にできた。いくつ残っているだろうか。1度行ったらもういいや、というようなものが多いのだ。ディズニーランドが成功しているのは、常に新たな企画を盛り込んでいるからだ。人を呼び込もうという単調な発想ではうまく行かない。

 石破さんは農業問題の専門家でもあるのでいくらか期待はできるかなと思う。しかしながら、石破さんのもとのスタッフは各省庁からの寄せ集めだ。具体的な政策立案で省庁間の主導権争いになる恐れがある。過去はその繰り返しだった。そうならないためには今回が「最後のチャンス」とすべての関係者、そして国民が思うかどうかにかかっている。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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