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明日の日本は?

2014/07/14

若者よ 夢はあるか

 若い人と話をしていて、いつも気になることがある。総じてみな素直で礼儀も正しい。そしてこう尋ねる。「○○になりたいのですが、どうすればなれますか?」。「なりたい」のではなく「なる」ための方法を尋ねているのだ。生意気な若者が極めて少ない。こんなに素直な人間ばかりで、この国の将来は大丈夫なのだろうか。徒(いたずら)に馬齢を重ねた人間の要らぬ世話であれば結構なのだが。

 子どもが少なくなったせいだろうか、夕方、かくれんぼや缶蹴りなどをして遊んでいる子どもらを見ることがまったくなくなった。さまざまに年齢の入り交じった子どもたちの集団では、いじめのようなこともあるが、おのずと集団の秩序のようなものを身につけることができたように思う。上級生は下級生の面倒をみる。下級生はそれを見て上級生になっていく。「ごはんだから帰りなさい」と叫ぶ母親の声を聞くことも今ではなくなった。

 筆者が小学生だったころと今を比較してもあまり意味がないかもしれないが、あのころは日本中が貧しく、生活は不便で(今振り返ると)、明日の展望もない。それでも裸電球の下、ちゃぶ台を家族全員が囲む夕飯と、そのあとのラジオを聴く時間は、例えようもないほど楽しかった。となりのおばさんは醤油(しょうゆ)や味噌(みそ)を借りにきたし、こちらが借りに行くこともあった。どこの家も鍵などかけていなかった。信頼していたのか、それとも取られて困るほどのものが何もなかったせいなのか。映画「三丁目の夕日」のような話で恐縮だが、あのころのほうがどこか希望に満ちていたように思う。

 「まじめに働けば、いつかきっと幸せになれる」とそう思って一人一人ががんばってきた。この単純な倫理観が戦後の日本を支えていたように思う。「働いて、何が得られるのか」「幸せになったからといって何がいいのか」などと考える余地もないあのころはかえってよかったのかもしれない。子どものころ、漠然と将来何をするかを考えたことがある。初めは音楽家になりたいと思ったが、父親が亡くなって、経済的に無理とわかって諦めた。つぎには映画監督になろうかなどと考えたが、就職探しのとき、不況で映画会社の採用なしと知って簡単に断念。成績が悪くとも採用試験を受けられるところがマスコミぐらいしかなかったので新聞社を受けた。社会正義に燃えていたわけでも、自分に才能があると考えていたわけでもない。いわば、はずみである。

 それでも何となく夢があった。新聞記者になる以上、だれかの心を揺さぶるようなものをいつか書きたいと思っていた。大学で講座を持っていたころ、たくさんの学生と接し、彼らが進路を考えるお手伝いのようなこともした。愕然(がくぜん)とするのは将来の夢として「正社員」と答えた若者がいたことである。でもだからといって笑えない。正社員になるのはなかなか厳しい世の中なのである。地方の農家の子弟が都会の学校を出て会社勤めをする。あるいは地方で商売をしている子弟も、郷里には帰らず、都会で働く。きっと地方で働くよりも都会のサラリーマンのほうが楽だと考えているのだろう。会社の上下関係に悩みながら、定年まで40年ほど働き続ける生活は決して楽なものではない。故郷で農業を継いだほうが家族のためにも本人のためにも、また日本のためにもよかったかもしれない。

  いまの日本の現状を考えると、若い世代には本当にすまないと思う。1千兆円を超す国家債務は、社会福祉のシステムが維持できなくなっていることを意味している。あなた方が受給年齢に達するとき、すでに年金は破綻している可能性が高いのだ。今所持している財産も紙くずになっているかもしれない。世界第2の経済大国だった日本は、中国に抜かれ、やがてインドなどにも抜かれるという予測もある。経済ばかりに依存していてはいけない。自分の足でしっかり立ち、自分の頭で考える。日本も、そして若者よ、君たちにも必要なのはそのことだ。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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