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日本経済展望

2014/05/26

内外に危うい要因

 「消費税率アップによる景気の落ち込みも、それほどではなかった」とさまざまなリポートが伝えている。これからは本格的回復軌道に乗るだろうと、信じている人も少なくないだろう。水をかけるようで恐縮だが、それは「捕らぬ狸(たぬき)の…」ごときもので、そう甘くはない。集団的自衛権の憲法解釈変更に必死の形相で取り組む安倍政権だが、東アジアの軍事情勢より、はるかに緊迫しているのは、これからの日本経済なのである。

 政府の月例経済報告(5月)ではこう総括している。「先行きについては、当面、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現するなかで、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続きわが国の景気を下押しするリスクとなっている」。

 穏やかな回復が期待されるが、そうならないとすれば、それは海外のせいである、と言っている。もちろん、ここまでグローバル化した経済、景気動向は国内と海外の二つの要因によるのは言うまでもない。アベノミクスという言葉に酔って、現状が見えにくくなっているので、あえて危険要因について言及する。実は大変なことになっているのだ。

 いまの日本は過去にどの国も経験したことのないような借金地獄にいる。隣の中国メディアは「国貧しくて国民が豊かな日本。中国は国豊かで国民が貧しい」と不思議がっている。わが国の国債残高は昨年末に1018兆円と1千兆円を超えた。これを国内総生産(GDP)比で見ると231・9%となる。ちなみに米国106・3%、英国110・0%、ドイツ83・4%と日本が群を抜いている。この数字だけでいえば、日本の労働者1億人が、2年半、懸命にただ働きしなければ返却できない数字である。もっとも世界の国債の歴史は、「踏み倒し」の歴史でもあるのだが。

 「ラインハート・ロゴフ仮説」というものがある。ともに米国ハーバード大学の学者による「国家債務の対GDP比率が少なくとも90%に達すればGDPの伸び率は減速し始める」という説である。異論もあるようだが、日本は200%をはるかに超えている。なのになぜ、日本人は平和に暮らしているのか、少なくともそう見えるのか。

 いくつかの理由がある。貸し手のほとんどが日本国民で、借金は円建てである。政府は通貨を発行して返済すれば、借金は返せる。ただし大変なインフレになり、国民生活は間違いなく破綻する。被害を被るのは貸し手である日本国民なのである。海外に買われている日本国債はあまりないので、海外が騒がない、それだけのことなのだ。

 その国債の格付けに変化が起こる可能性が強まっている。スタンダード&プアーズ、ムーディーズといった格付け機関が日本の格付けを下げれば、国債金利は高騰する。それは取りも直さず、国家破綻への道である。何をきっかけに格付けを引き下げるのか。それがこれから起ころうとしている悪夢である。

 消費税率は来年10月に10%に引き上げられる。何もしなければ、そうなるように法律に書き込んである。ここが財務省のずる賢いところで、それをやめるには法律を改正しなければならない。少なくとも半年前の来年4月ごろまでには改正しなければならないが、簡単ではない。安倍首相は「7〜9月の景気指標を見て、10%に引き上げるかどうか判断する」と公表している。現在、消費税引き上げの影響は想定内、となっているのは、小売業者を先頭に駆け込み需要の反動がこないように、ポイントの増額とかさまざまなセールとかの工夫を凝らして消費者を逃さないようにしているためだ。

 7〜9月の経済データが出る11月には、当然引き上げるべきという数字にはならないだろう。与党内には「もう半年ほど経済の動向を見極める必要がある」という声が高まっている。結論を来年4月の統一地方選の後まで先送りしたいのである。いまのところ順調に見える安倍政権だが、アベノミクスの効果が行き渡っていない地方では、10%消費税は選挙の足を引っ張ることになる。統一地方選で勝利して、10月の自民党総裁選に臨み、長期政権への足がかりを築こうとしている安倍首相にとっては、できれば10%は見送りたいというのが本音だろう。

 日本の政治が10%見送り、もしくは結論先送りにするだろうと、多くの格付け機関はにらんでいるという。それに頼みの米国経済も実は思わしくない。「テーパリング」といって金融緩和策を徐々に解除していく施策が足を引っ張っているのだ。これを続ければドル高になる。日本の円安の恩恵はここから来ている。この施策のせいで、世界の市場から資金が不足気味になっている。それが中国など新興国の経済を直撃している。中国の部品工場化した日本経済は、当然、その影響も受ける、という状況なのである。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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