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集団的自衛権

2014/05/12

国民に判断の機会を

 安倍首相が執念を燃やす「集団的自衛権」問題が、今週、山場を迎える。連立与党の公明党を如何(いか)に説得するか、また自民党内部にも消極論がある中で、何よりも国民にどう説明するかが問われている。本来ならば憲法を改正して行うべきものを、それでは時間がかかりすぎるとして、憲法の解釈を内閣が変更して集団的自衛権の行使を可能にするといういささか乱暴に見える手法が、禍根を残すことはないのだろうか。

 俳句の春の季語を調べていたら、「憲法記念日老いても子には従わず 石川笙児」という句に出あった。筆者も戦中派のせいか、憲法の解釈を変更して武力行使を可能にする、などと聞くと、心が波立つ。きっといまの若い世代の人たちとの感覚の違いはあるだろう。しかし、安倍内閣の手で憲法の解釈を変更したら、この先、路線を異にする内閣ができて、また元の解釈に戻したり、別の解釈をするかも知れない。ならば総選挙で国民の判断を仰ぐぐらいのことは必要なのではないだろうか。国家運営の基本たる憲法の解釈を与党だけの議論と「閣議決定」で済ませてしまうのが、果たして民主主義といえるのか。

 「友だちが暴漢に襲われたとき、黙って見ているだけでいいのか。そういう友だちなら、自分が同じ目にあっても、助けてはくれない」というのが、推進論者の根拠としている理屈である。言い換えれば、友だちは主として米国、自分とは日本である。米政府の安全保障担当者に聞いてみた。こんな答えが返ってきた。「米国が攻撃されたら、日本に何かをしてもらいたいなどとは考えていない。それは米国自身が対応する。日本には米国の手の届かないところで対応してほしいのだ」。

 首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は今週、報告書を提出する。その中で集団的自衛権行使にあたっての条件をつけ、具体的な事例をも提示する予定だ。実はこの報告書の内容そのものは、昨年末にはできていたもので、公明党や世論への配慮から、提出の時期を官邸サイドと模索していた。ある官僚OBが言う。具体的なケースを想定して議論はするが、法律に書き込む時に「等」という言葉を1字つけ足せば、あらゆることが可能になる、らしい。これがいわゆる「霞が関文学」と揶揄(やゆ)されるものなのだろう。

 安倍首相は欧州歴訪でも「東アジア情勢は緊迫の度を強めている」という趣旨の説明をし、日本の積極的平和主義が支持されたと強調している。東アジア情勢が緊迫しているのは事実だが、安倍首相自らも原因の一部を担っていることを知るべきだ。欧州、とくに英国で批判されていたのは、安倍首相の歴史認識についてであって、そのことについてはまったく言及せずに、支持されたと判断するのは危険だ。

 集団的自衛権行使ができるようにしたいということそのものには賛成ではないが、反対でもない。やりたいのなら、もっと時間をかけ、手順を踏んで進めるべきではないか。それよりも、というか、その前に、四面楚歌の外交をきちんとすべきではないか。アフリカ、アジア、欧州とたくさんの国々の歴訪を続ける安倍首相。関係悪化の中国と韓国以外ならどこへでもという姿勢だが、肝心の中国、韓国と「政凍経冷」状態ではどうにもならない。それが原因で米国との関係も決して良くはない。銀座の高級鮨(すし)店で「生涯でもっともおいしい鮨」とオバマ大統領が言ったということになっているが、どうやら真相は異なるようだ。少ししか鮨には手を出さず、終始、豚肉や牛肉の関税率の話をしていたようだ。ホテルに戻ってから、ルームサービスで鮨を取ったという情報も流れている。ただ、オバマ大統領にとっては天皇、皇后両陛下との歓談の時間がもっとも印象的だったようで、外務省筋も「大統領は陛下を尊敬しているようだった」と認めている。

 「個別的自衛権で対応できないことがたくさんある」から集団的自衛権行使をという論理だが、少しばかり理屈をこねると、例えば島根県に属する竹島。韓国が実効支配しているが、日本の領土なのだから、本来なら、個別的自衛権の範囲で奪還できるし、しなければならないという理屈になる。同盟国米国がこの問題で何も言わないのはなぜなのか。ことほどさように安全保障に矛盾点はたくさんあるし、そこから思わぬ方向へ発展しないよう注視し続けなければならない。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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