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集団的自衛権

2013/08/19

議論不足、なぜ今なのか

 「集団的自衛権」という言葉が連日、メディアに登場するようになった。憲法の解釈を変えるとか変えないとか、何やら難しそうな話である。国の形を変えるかもしれないという議論もあるし、戦争に巻き込まれる危険性もある、と反対する人も少なくない。安倍首相は前回の首相就任時からこの問題にこだわり続け、ついに6年越しの思いを形にしようという一歩手前までこぎつけた。この秋、議論が山場を迎えるが、その行方を世界中が注目している。

 国連の憲法ともいうべき国連憲章にはこうある。「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」(51条)。またサンフランシスコ講和条約(5条C)において連合国としては日本が個別、集団的自衛の権利を有することを認めている。日米安保条約でも同様に認めている(前文)。国際法の世界でも、国家は基本的に個別、集団双方の自衛権を持つというのがいわば常識だったが、日本政府は「権利は保有するがその行使は許されない」(1981年政府答弁書)としてきた。「権利は持つが使えない」という奇妙な解釈をこれまで取り続けて来たのである。

 「集団的自衛権」とは何か。個別的自衛権が、日本単独で自国を守る行為なのに対し、同盟国、すなわち日本の場合、米国ということになるが、米国を守るために武力を行使する権利である。友人や家族が暴漢に襲われたときに、助けるために殴り返す、という状況に似ている。

 政府はこれについて憲法解釈上、行使することはその範囲を超えるとして否定してきた。そもそも憲法は制定当時、自衛隊の存在を前提にしていなかった。憲法制定のあとに自衛隊ができたために自衛隊の合憲性を説明する必要上、保有しているが行使できないという矛盾した解釈になってしまったのである。これに対し同盟国米国は終始、不満を示してきた。湾岸戦争時には「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上部隊派遣)」という声があがった。自衛隊海外派遣が現実になったのも、こうした流れからである。

 ただ、米国は現在もなお、日本に対して集団的自衛権の容認、行使を求めているかといえば、極めて微妙だ。オバマ政権は安倍政権の右傾化傾向が極東アジアの緊張激化につながっていると自制を求めており、どこかで非公式に中韓両国を刺激しないよう働きかけてくる可能性がある。

 集団的自衛権の憲法解釈について、これまでの政府のとってきた措置は矛盾に満ちていた、と考えるが、だからといって安倍政権がその憲法解釈を変更するためにやろうとしていることを是認する気にはなれない。まず問題なのは、集団的自衛権を認めてこなかった「憲法の番人」法制局長官を容認派の人物に交代させたことである。それも前例のない法制局に在任した経験のない外務官僚を起用した。めざそうとする政策を実行するために、人事を用いる手法は、日銀総裁人事や財務、外務、経済産業、厚生労働各省次官人事と同じ手法だが、ことは憲法の解釈にかかわるだけに首を傾(かし)げざるを得ない。いかに法制局が内閣の一組織だとしても、客観的であるべき法制局長官人事が政権の意向次第で交代させることができるとなれば、今後、政権交代のたびに憲法解釈を変更するための人事が行われるという恐るべき事態にもなりかねない。

 憲法に問題があるとするならば、憲法改正によってその矛盾を解消すべきで、解釈を変更する、そのために人事まで持ち出す、というのはいかにも乱暴だ。集団的自衛権の容認・行使に反対して来た公明党はどう臨むのだろうか。連立を維持するために、これもやむを得ない、というのであれば、国民への背信行為だと言わざるを得ない。

 いずれにしろ、国民的議論が不足している。おおまかな話ではなく、具体的にどういうケースならば日本が武力行使できるのかという説明と議論が必要である。一つ一つ歯止めをかけておかないと、これまでもそうだったようにどんどん範囲が拡大して行く。北朝鮮の脅威や中国艦船の領海侵犯などのわが国周辺の安全保障上の環境変化があるとはいえ、それをいいことに一挙に物事を進めようとする企てに乗ってしまうのは危険だ。「戦争しない」はずの日本が、戦争に加担することになるかもしれないという「覚悟」をしているかどうかも問われているのである。

 閑話休題、最近、感動した話を一つ。先月、幼いころ住んだ青森市で中学の卓球部仲間と旧交を温めた。スナックで「あさって高松へ行く」と話したら、われわれの話を聞いていたらしい見ず知らずの人が「高松には卓球の女子世界チャンピオンがいる。料亭の女将(おかみ)だよ」という。2日後、高松空港へ着き、その話を迎えの人にしたら、今夜そこへ行きます、というではないか。私と同い年で、50年以上前のあこがれの深津(旧姓)尚子さん、が目の前に現れた。あのころの美少女そのままだった。世間は狭いと思った料亭「二蝶」の一夜だった。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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