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巨大与党誕生

2013/07/23

丁寧に民意をくめ

 今回の参議院選挙をもっとも象徴する数字は、52%台と戦後3番目に低い投票率である。沖縄以外の都道府県は軒並み前回を下回った。震災復興、原発、デフレ脱却、孤立する外交、憲法改正、TPP(環太平洋連携協定)と日本の命運を左右する重要な政策課題が山積していると、政党も候補者も、そしてマスメディアも叫び続けたのに、驚くべき低投票率である。有権者がそっぽを向くほど政治が悪い、ともいえるが、投票にも行かない、行ったとしても大きくぶれる投票行動を続ける有権者もまた、厳しく自省すべきである。衆参両院に誕生した巨大与党が、民意を尊重した政治を行うのか、それとも暴走してしまうのか、監視し続けなければならない。

 この40年間に行われたすべての国政選挙を取材して来たが、これまでのどの選挙とも違ったことが一つある。それはメディアの選挙予想がほとんど同じように与党圧勝で、1、2議席の差しかなかったことである。過去にはメディアの予測報道に反発して違う投票行動をする有権者が少なからずいたが、最近は勝ち馬に乗るという心理が働くようだ。すなわち、天(あま)の邪鬼(じゃく)が減ったということなのだろうか。

 選挙のたびに有権者の多くは「変化」や「変革」を求めてきた。それが今回ばかりは「変化しない」ことを求めたように見える。原因は民主党政権3年の数々の失敗と、いまのところ順調に見えるアベノミクスによる経済である。加えて「衆参のねじれ解消を」というキャンペーンが効いた。「ねじれ」という言葉は正常ではない状態を意味するもので、これを解消する、すなわち正常に戻すことは正しいという意味になる。2院制の国で両院の多数政党が異なるところはいくらでもある。だれも、ねじれなどとはいわない。与野党間で協議して妥協点を見いだすのが当たり前なので、かえって民意に近い結論につながることもある。

 与党は大勝した。とりわけ安倍首相は「ねじれは私の責任」といつも口にしていたので、今回の結果には大いに満足しているだろう。昨年末の総選挙、東京都議選、そして参院選と大勝続きの安倍首相に、自民党内では批判的なことを口にする人は激減するに違いない。よほど気をつけなければ裸の王様になる危険性がある。そして今回の選挙結果に「勘違い」しないことが大事だ。

 有権者が支持したのはアベノミクスの「経済政策」だということを思い起こしてほしい。首脳会談も行えないような中国や韓国との外交姿勢を評価したわけではない。まして憲法改正やTPP、原発や震災復興では国民の意見はさまざまだ。これらのほとんどが十分な議論さえも行われていない。選挙ではこれらの問題の大半に与党は具体的言及を避けた。全有権者の半分しか投票に行かず、その半分強の支持を得たといっても、はっきり支持したのは有権者の4分の1なのである。

 巨大与党となった安倍政権が、どのような国家運営を行うのか、国内だけでなく世界も注目している。とりわけ同盟国アメリカは、安倍政権のタカ派的体質が浮き出てくるのかどうかを注目している。それは極東地域での撹乱(かくらん)要因になりかねないからだ。それでなくともシリア、エジプトなどで外交的に手一杯の米国は、極東地域でこれ以上騒ぎを大きくしてほしくないというのが本音だ。したがって「憲法問題はあくまで日本の内政問題」としながらも、改正手続きを定めた96条の改正にも反対なのだ。すでに日本側にもその意向は伝わっており、安倍首相がいささか慎重な言い回しになったのはそのためといわれている。

 衆院選、参院選と民主党の大敗北で「二大政党制」は少なくとも現時点では消滅した。民主党の責任は言うまでもなく重い。海江田代表は続投に意欲を見せているようだが、東京選出議員の代表として、都議選の敗北と、参院選東京選挙区で議席を失った責任は、続投を不可能にするほど重い。出直しにはリーダーの交代が不可欠である。共産党の躍進は、巨大与党にはっきりとモノを言う反自民党の受け皿の役割を担わされたということだろう。

 過去数回の国政選挙だけでみても、大勝利は大敗北への始まりでもある。300議席前後を獲得したかつての中曽根政権、小泉政権、そして政権交代を実現した鳩山政権。いずれも大勝利のあとにほどなく大敗北が訪れた。有権者の心はうつろいやすいし、長い目では見てくれない。安倍巨大与党への国民の評価が下るのは10月の消費税導入決定のころ、そのころ経済、外交、原発、TPP、政治姿勢などの項目について通信簿に採点が書き込まれることになる。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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