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解散時期攻防

2012/10/22

情けない党首会談決裂

 卵を産むのは鶏、その鶏は卵から産まれる、さてどちらが先か。鶏か卵かは、論じることの愚かさを象徴する話である。決裂した民自公三党首会談は衆議院の解散時期を明示するかどうかでまるで子供のけんかのような醜態をさらけ出した。その結果、政治は1歩も前に進まない。敗色濃厚な解散・総選挙は先送りしたい民主党と、一刻も早く政権を取り戻したい自民党。またしても国民は置いてけぼりだ。

  「解散」とは衆議院議員480人の首を切って選挙を行うということである。首相が解散の権限を持つといわれるのは、憲法7条が根拠になっている。7条は天皇の国事行為について定めており、数ある国事行為の中に「解散」がある。すなわち天皇が行う厳粛な行為であるが、その前提として「内閣の助言と承認」が必要と定められている。ここから実質的には首相が解散時期を決める権限を持つというある種の拡大解釈が行われ、いまや解散は首相の専権事項というのが常識化している。

  衆議院議員全員をいわば“解雇”するわけだから、大変なことなのである。反対する野党を半ば脅すために「解散するぞ」と首相が解散権をちらつかせるのが普通だ。今回は野党が解散しろ、と迫り、首相が「近い将来」「ちかいうち」「しかるべき時」「条件が整えば」などと言を左右にして引き延ばしているという構図である。

  「話し合い解散」をのぞけば、首相が解散時期を明示したことはない。解散について首相はウソをついてもいい、というのが長い自民党政権時代に言われていたことで、解散はしません、と言い切って解散した中曽根内閣の「死んだふり解散」の例もあるぐらいだ。

  解散の時期を示したとたんに、政治は止まってしまい、選挙一色になる。だから筆者が取材した24人の中で、明示した首相は1人もいない。もし安倍総裁が首相で同じことを野党に求められたら、果たして解散時期を示しただろうか。自民党が政権を奪還したら、同じ手で野党に追い込まれることになるのだ。

  決裂したあとの野田首相の表情からは、ここまできたらもう下手な妥協はしないぞ、という覚悟のようなものが感じられた。段取り通り、臨時国会を今月下旬に開催するのだろう。怒りをあらわにする安倍総裁は臨時国会冒頭から審議拒否の可能性をにおわせている。公明党の山口代表は「国民をばかにしている」とやはり怒り心頭だ。

  国会の冒頭からの審議拒否という話はこれまでに聞いたことがない。自民、公明両党が仮にそういう戦術をとっても、他の野党は審議に応ずる公算大である。そういう戦術を果たして国民が支持するだろうか。それを貫けるほど安倍執行部の党内基盤は強くない。また公明党が審議拒否戦術に同調しない可能性もある。どちらが先に音をあげるかのチキンレース、意外に与党に分があるように思える。

  政治がやらなければならないことは東日本大震災の瓦礫(がれき)の山と同じぐらいたくさんある。領土問題、被災地復興、原発事故処理などオールジャパンでなければ決められないことばかりだ。解散の時期などで角突き合わせて何も決まりませんでしたで済まされる状況ではない。

  野田首相を支える岡田副総理が面白いことを言っていた。党首会談で安倍総裁が近い将来の総理候補として発言するのか、それとも野党党首としての行動で終わるのかを注目していたという。というのは、やがて総理になれば逆の立場になるからだ。「野党党首としての振る舞いでしたね。自分が首相になる気なら、ねじれ問題解決の絶好の機会だったのに」。解散時期についての言質を取れという自民党内の圧力に、安倍氏自身もかなり追い込まれているのかもしれない。

  与野党の我慢比べはまだまだ続く。昔から与野党対決でこう着状態に陥った時には、何かあっと驚くような知恵を働かせたものである。双方が水面下で意思疎通を続け、どこかで劇的な解決をはかる。ときには衆議院議長が調停や裁定に乗り出したりすることもあった。いまは互いに相手を誹謗(ひぼう)するだけで知恵がまったく出てこない。いたずらに時間がすぎ、むなしさだけが残る。

  このままでは「日本の最大の政治問題は政治そのもの」という情けない状態からいつまでも抜けられない。自民党もほんとうに政権を取り戻す気なら、特例公債法案など最低限の処理に協力した上で、選挙にのぞむことを考えたらどうか。どんなに野田首相がねばっても、最長で衆議院議員の任期切れとなる来年夏までのことなのである。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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