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戦後最大の政治危機

2012/09/03

ポピュリズムと決別を

 民主党代表選、自民党総裁選、解散・総選挙をめぐる攻防、大阪維新の会を核とした政界再編の動き。9月にこのすべてが集中する。加えて何も打つ手のない領土問題、進まぬ震災復興・原発処理と「決められない政治」。大げさではなく、日本は戦後最大の政治危機に直面している。2013年元日、日本の総理大臣がだれなのかが、まるで予測がつかない。それがだれであったとしてもおそらくうまくいかないと国民の多数が確信していることが危機の理由なのである。

 民主党代表選は野田佳彦首相に対抗馬が立つことが確実視されている。田中真紀子、細野豪志、原口一博各氏らの名前が浮かんでいるが、総選挙の「顔」となるリーダーを選ぶだけに、野田首相の再選までには曲折も予想される。自民党は激戦である。谷垣禎一総裁に対抗して、安倍晋三元首相、町村信孝元外相、石破茂元防衛相、場合によっては石原伸晃幹事長、額賀福志郎元財務相らが出馬に踏み切る可能性もある。いずれ乱立となれば、上位2人の決選投票となる公算大である。

 8日の国会閉幕を待たずして、民主、自民両党は党首選挙モードに突入した。また解散時期について「近いうち」という約束は反故(ほご)同然だが、それでも政界は「10月解散11月総選挙」の可能性が高いとみて、衆議院議員と候補予定者たちは選挙区に張り付いている。衆議院の過半数は定数480の半分の241議席。単独でこの議席に届きそうな政党はなさそうだ。安定多数は268議席なので与党となって政府を引き受けるには連立政権を組むことが不可避である。その場合には既成政党同士、たとえば民主、自民、公明の3党で大連立を組むか、あるいは第1党となった政党が大阪維新の会など第三極グループと組むか。どちらになるかは民主、自民両党の党首がだれになるかで違ってくる。野田、谷垣両氏ともに再選されれば大連立の可能性が出てくるが、それでも民主党が大敗すれば、野田氏は退陣を余儀なくされる。

 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会がどのような党名で国政に進出するのかわからない。政策も、党首も未定なのである。にもかかわらず、すでに総選挙の最大の焦点のように言われている。どのような結果になるかわからない段階から、多くの既成政党がすり寄っているように見える。ときどきはそれに維新の会が肘鉄を食わせたりして、もはややりたい放題である。

 読売新聞主筆の渡辺恒雄氏が書いた「反ポピュリズム論」(新潮新書)がベストセラーになっている。その冒頭にナベツネ氏が面白いことを書いている。

 『「大阪に幽霊が出る―橋下徹という幽霊である。古い日本のすべての政党は、この幽霊を退治しようとして神聖な同盟を結んでいる」これはマルクス、エンゲルスの「共産党宣言」の冒頭の言葉を、「ヨーロッパ」を「大阪」「日本」に「共産主義」を「橋下徹」に入れ替えたパロディーである』

 東大共産党細胞にいたことのあるナベツネ氏でなければ思いつかないものだが、いまや「退治」ではなく「あやかりたい」と腐心しているのだから情けない。橋下氏の政策に共鳴しているというよりは、明らかに選挙で生き残りたいという願いだけだろう。最近の有権者の投票行動を見れば、政党や政治家がポピュリズム(大衆迎合)に走りたくなるのがわかる気がする。自民党圧勝の小泉郵政選挙も、政権交代をうたい文句にした民主党大勝もそうだった。期待はずれになるかもしれないと思いつつも有権者の多数はバラ色の夢に走りがちだ。

 政治にはできることとできないことがある。どちらかといえばできないことのほうが多い。リーダーを入れ替えても、また新しい政治集団に期待しても、そう簡単に政治は変わらない。ドイツの社会学者マックス・ウェーバーが「職業としての政治」で指摘しているように、政治とは硬い板に錐(きり)で穴をあけるような地味で根気のいる作業なのである。決して青い鳥はいない。いままでどれだけ多くの青い鳥を見失ってきたことか。ポピュリズムの悪魔は政治家や政党ではなく、有権者の心の中に姿を隠しているのである。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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