天気予報を見る
 
新聞購読申込
連載TOP > 連載 > 田勢康弘 愛しき日本 > 記事詳細

連載

 
 
 

がんばれ野田首相

2012/07/23

党分裂で求心力低下

 大方の読者からお叱りを受けるだろうことを覚悟で書く。民主党分裂で求心力を失ったと批判されている野田佳彦首相は、国のためによくがんばっている。危機の日本が必要としているのは、国民の声に応えてくれる政治ではなく、国民に苦い薬でも必要とあらば政治生命を賭しても実行するリーダーである。消費税増税に、原発再起動、国民の大反発の中でやりきれるリーダーはほかにない。重要なこの二つの課題を見送れば、国民の半数は歓迎するかもしれないが、経済成長はおろか、この国は滅びる。

  国民が喜ぶような政策を実行に移したい、というのは政治家だれしもが願うことである。しかし、そればかりでは国家運営はできない。野田首相が民主党分裂を回避するために、消費税増税法案の衆議院採決を見送っていたら、日本はどうなるか。日本は財政再建を放棄したと見なされ、日本国債の格付けは大きく下がり、国債の金利はギリシャ並みに急騰するだろう。政界も大混乱し、野田首相は退陣することになるだろう。首相がだれになるかなどはどうでもいいが、かつて世界第2位の経済大国といわれた極東の小国は、存在感のない文字通りの小国になってしまうだろう。

  原発も同じだ。福島の原発事故のあと、原発の増設をなどと考える政治家はほとんどいないだろう。こんな危険なエネルギー源は捨て去りたい、とだれしもがそう思う。しかし、それでは日本は生きて行けない、少なくとも経済成長など望めないのだ。政治家はそのことには触れずに「脱原発依存」と唱える。いつまでにとも、どのようにして、とも言わずに「脱原発」だけ主張するのはあまりにも狡猾(こうかつ)だ。廃炉でさえ、30年も40年もかかる。どのようにして燃料棒を処理するのかの計画さえできていないのだ。アジアでは中国、インド、韓国をはじめ、ほとんどの国が原発増設の予定だ。囲まれた日本だけが「依存からの脱却」を唱えるだけで、責任を果たせるのか。唯一の被爆国として、かつ原発事故の体験国として安全性確保の技術向上に果たすべきものがあるのではないか。いま必要なのは遠い将来の夢物語ではない。いまのこの危機をどう凌(しの)いで行くかなのだ。

  国際会議にひんぱんに出ている外交官や金融関係者が口々に言う。海外での野田首相の評価が驚くほど高い、という。そういえば、6月半ば、英国の「エコノミスト」誌が「過去数代の自民党出身の首相の業績を足したよりも大きな仕事を成し遂げようとしている」と評価するとともに、この世襲政治家でない野田首相は「自分の生き残りや総選挙の結果などにさほど関心がないからこのようなことができる」と解説を加えている。

  3月には米ワシントンポスト紙が「野田首相はここ数年の日本の首相の中ではもっとも賢明である」と絶賛した。重箱の隅を突っつくような権力闘争だけ見ていれば、野田政権は風前の灯火のように見える。ここは冷静に物事の本質を見つめてみる必要がある。なぜ、民主党は分裂したのか。「大義」と小沢一郎代表は言うけれど、結局はこのままでは次の選挙で当選の可能性の薄い議員が、選挙のためには離党して新党に参加した方がいいと判断したからだ。小沢代表の掲げる政策、すなわち消費税増税、原発再起動、TPPすべて反対という「究極のポピュリズム(大衆迎合)」はすべて選挙の勝利のためである。

  だから、離党者が続くからといって野田首相はうろたえるべきではない。ここまで「政治生命をかける」方針で来たのだから、この先も右顧左眄(うこさべん)せずに貫かなければならない。たとえば反対の大合唱に包まれている沖縄普天間基地配備予定のオスプレイにしても、配備するのは米軍なので、基本的には日本がどうこうできる問題ではないのだ。その限りにおいて首相は間違っていないが、政界ばかりでなく日本中が「安全」「安全」「安全」のポピュリズムの大合唱になっているため、首相が批判されているのだ。

  野田首相がなすべきことはただ一つ。正しいと信ずることを命がけで貫き通すこと。心に延命などという邪心が入り込まないようにしてこの国の次の世代に引き継ぐためにがんばることだ。「命も要らず名も要らず、官位も金も要らぬ人は仕末に困るものなり。この仕末に困る人ならでは艱難(かんなん)を共にし国家の大業は成し得られぬなり」。西郷隆盛の気概で臨んでほしい。たとえ少数でも見ている人はいるはずだ。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

47CLUB(よんななクラブ)

47CLUB
全国の良質な品々を厳選してお届け

盆栽

盆栽
産地香川から盆栽文化をお届け

オンラインショップ情報

ショップ情報
オススメの買い物サイトをご紹介

讃岐囲碁サロン

讃岐囲碁サロン
ネットで世界の囲碁ファンと対局!

みみより新聞

みみより新聞
視覚障害者向けニュースサイト

住宅展示場情報

住宅展示場
家造りに関する情報盛りだくさん

健康新聞

健康新聞
元気な暮らしに役立つ情報を紹介

ちょこっと広告・パネット

パネット
四国新聞を伝言板として使おう!

求人情報紙・ジョブ

ジョブ
週刊発行!チラシタイプの求人情報

おりーぶ通信

おりーぶ通信
女性通信員のページ

▲このページのトップに戻る
購読のお申込みは0120-084-459

SHIKOKU NEWS 内に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

Copyright (C) 1997- THE SHIKOKU SHIMBUN. All Rights Reserved.