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防衛相進退

2011/12/05

壊れかけの国家中枢機能

 この国の国家運営の中枢機能が破壊されてしまっている。実行に移さなければならないことがたくさんあるのに何もできない。そればかりか問題解決にあたるべき政府そのものが問題を引き起こしているのだから、何をかいわんやである。野党はまた、ここぞとばかり攻め込み、侍大将の首を取ると息巻く。閣僚の首がすげかわっても、何かが進展したり改善したりはしない。所詮(しょせん)は永田町の小さな駆け引きにすぎない。それに比べて山積している問題の壁の高さを思うと絶望的にならざるを得ない。

  それにしても、と思う。ほんとうにそんなことを言ったのだろうか。沖縄防衛局長が、マスコミとの懇談の席で(辺野古の)環境影響評価提出の時期を問われて「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と暴言を吐いたという。政治家や官僚が反対を押し切る時に「強姦する」などという言葉を使う事があるが、沖縄でもっとも県民感情を害した問題は米兵による少女暴行事件であることを防衛局長が知らぬはずがない。もっとも言ってはいけないことを言ってはならない土地で発言したのである。いかにそれが「完全オフレコ」を前提にした酒の席であったとしても弁解の余地はない。でもほんとうにそう言ったのだろうか。そうだとすればそういう人間を送り込んだ防衛省という組織そのものに重大な責任がある。

  この発言を琉球新報が報じてからも政府の対応は鈍かった。総理が陳謝したのは翌日だし、それまではそれほど深刻に受けとめていなかったように見える。一川防衛相は翌日、防衛省事務次官を沖縄へ派遣したが、何の効果もなかった。野党側から一川防衛相の問責決議案提出の動きが出てくると、こんどは防衛相自らが急きょ、沖縄へ赴き、仲井真知事に陳謝したが、会談はわずか9分で知事の方から打ち切られた。

  いかにも民主党らしい後手後手の対応である。その結果、火はますます燃え盛るというおなじみの結末だ。加えて、自民党から質問された一川防衛相は沖縄の少女暴行事件について「あまり詳しくは知らない」と答弁、火に油を注いだ。就任直後にも「安全保障は素人だが、その素人が担当する事がほんとうのシビリアン・コントロール」と発言、これらが合わせ技になっての問責決議案提出が5日以降の国会の焦点になる。場合によってはそれより前に引責辞任する可能性もある。

  問題発言をする―当事者は職務続行を表明―首相も擁護の姿勢―野党強硬―閣僚辞任という流れはもはやお定まりの儀式のようになってしまっている。一川防衛相に同情するわけではないが、防衛相として「素人」なのは事実だし、暴行事件について詳しくないのもおそらくその通りなのだろう。もちろん監督責任はあるが、すべてを合わせてみても辞任せざるをえないようなことなのかどうかはきわめて判断が難しい。結局やめなければ野党の審議協力は得られないので、要求通り閣僚辞任となる。野党は手柄を立てたことになるかもしれないが、国民にはどうでもいいことだ。もっと政治がやるべきことはほかにたくさんある。だれもが、いつ行われるかわからない総選挙のことばかり考え、選挙に得か損かばかりが行動の規範になっている。

  一川防衛相は閣僚の座にとどまる事はできないだろう。ここ4、5年の日本の政治ではっきりと形になって残っているのは、たくさんの閣僚が辞任し、総理もたくさんの人が就任し、うたかたのごとく消えて行ったということである。部下が不始末をしでかし、監督責任を問われて、閣僚が辞任するという話は、米国ではあまり聞いたことがない。おそらく「個人」主義の米国と、「組織」重視のわが国の違いなのだろう。不用意な言葉が命取りになるということがはっきりしているのに、それでも暴言、失言が絶えないのはどういうわけか。緊張感が足りないことと、やはり教養不足からくる語彙(ごい)の少なさが影響していると思う。たとえ話で失敗するケースの多いことがそれを証明している。

  中央の政治の閉塞感が、先の大阪市長、大阪府知事のダブル選挙での「維新の会」圧勝という結果につながっている。かつての小泉ブーム、民主党政権交代のような勢いが維新の会にはある。ただし、勢いだけでは何も解決しないということは、誰しもが苦い経験で知っている。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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