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TPP

2011/11/21

国の内外で板挟みに

 米国と中国というふたつの巨大な磁極に引っぱられ、日本の存在そのものが揺らいでいる。環太平洋連携協定(TPP)に関し「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」という野田佳彦首相の表明は国際社会に大きな波紋を呼んでいる。米国をはじめ参加予定国は日本の方針を「交渉参加」と受け止め、歓迎している。これに触発されるようにしてカナダ、メキシコも交渉参加の意思を表明した。一方で中国は米国主導のTPPに「中国包囲網」と警戒感を示し、対抗して東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)を提唱している。日本はこれまでどちらにも意欲を示してきたが、アジアにおける米中の確執が強まる中で、立ち位置を決めかねているのが実情である。

 インドネシアのバリ島で開かれた東アジアサミット。急きょ開催されたオバマ米大統領と温家宝首相の米中首脳会談は、軍事・安全保障ばかりではなく経済問題でも両国の関係が微妙な段階にあることを感じさせるものだった。この直前にはハワイのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、オバマ大統領と胡錦濤国家主席との会談、両国外相会談など10日で4回もの両国政府首脳の会談が行われている。

 オバマ・温家宝会談は1時間行われ、ともに融和ムードを演出しているが、内容は多岐にわたるテーマで相当激しくやりあったものと想像される。アジアの経済圏をめぐる米中の駆け引きの最大の標的は日本だ。日本を取り込んだほうがアジア経済圏における主導権を握ることになる。どちらを選択するのが日本にとって得か、という議論もあるが、二者択一できるような問題ではそもそもないのである。

 日本にとって中国は、大事にしたい隣の友好国である。米国は中国と同じ位置にはいない。米国は日本の同盟国なのである。同盟国とは、安全保障上、運命共同体を意味する。人間関係に例えれば、日中は親しい友達だとすると、日米は運命をともにする伴侶のようなものである。安全保障だけ米国との関係を維持し、経済だけ中国と、と都合よくはいかないのだ。日中の経済関係は一段と深まっているが、ささいなことで日中関係に暗雲が立ちこめると、たちまち経済に影響が出てくるようでは具合が悪い。

 農業を守れと、TPP反対の立場を取る人たちからみれば、中国と同じ経済圏に加わる方が好ましく見えるだろう。米国主導のTPPよりもルールが甘くなるのは確実で、コメなどを例外品目にしやすくなるからである。

 野田首相はいまのところ、「昨年の横浜APEC首脳宣言で決めたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を実現させるためには両方横目に見ながらということになる」と板挟みの状態をむしろ歓迎しているような口ぶりだ。現段階はそれで済んでも、日米、日中、それぞれの関係を悪化させずに対応するのは極めて難しい。それとともに国内での強い反対論をどう説得するのか、展望はまったく開けてこない。政治レベルでいえば、民主党議員のTPPに対する賛否はほぼ半々、自民党、公明党など野党は圧倒的に反対だ。連立を組む国民新党の亀井静香代表は「TPPのバスは地獄行き」と連立離脱をちらつかせながら猛反対している。

 前回本欄で指摘したようにTPP参加交渉と消費税引き上げという野田首相の決断は評価すべきものだと私は思う。国際情勢を考えれば、逃げて済む話ではない。しかしながら、決断すればすべてそれで終わるということではない。政治は結果責任であり、いかにして決断を実行に移すかが重要なのである。野党ばかりか、与党内の説得さえ見通しが立たない。離党をほのめかす議員もいる。久しくなかった大掛かりなデモが連日国会周辺で行われるようになり、いささか騒然としている。それでなくとも東日本大震災と福島原発問題で大変な時期に、平時でも対応が難しい問題が集中しているのである。

 日本の意思表示を受けて、米国は早速、米国産牛肉、自動車、郵政と3項目の見直しを要求している。一方でオバマ大統領との首脳会談で野田首相が発言した内容について日米双方の説明に大きな食い違いがあることが問題になっている。米国は野田首相が「すべての品目をテーブルに載せる」と述べたといい、日本側はそのような発言はしていないとこれを否定。国会では野党側が「なぜ訂正を要求しないのか」とか「二枚舌外交だ」と厳しく批判している。もともとは民主党内の意見を取りまとめる際に玉虫色の表現で押し切ったところからこのような事態は予想されていた。就任後まだ3カ月に届かない段階で、野田首相は厳しい状況に追い込まれている。このままいけば、民主党政権3人目の首相も、「三度目の正直」ではなく「二度あることは三度ある」になりかねない。

(政治ジャーナリスト、四国新聞特別コラムニスト)

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