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増税・TPP

2011/11/07

評価したい首相の決断

 腰も座っているし意外に度胸もある。このところの野田佳彦首相のことである。フランスのカンヌで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税増税を国際公約した。今週半ばには環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を正式に表明するものと見られる。国民に十分な説明をしないで国際公約するのか、という批判は根強いものがあるが、首相のこの決断は評価に値する。十分な議論を尽くせとメディアは言うが、議論しても賛否の幅は縮まらず、むしろ対立が鋭角化するばかりである。国際社会の日本に対する不信を払拭し、一定の責務を果たすためには、議論より、決断が求められているのだ。

 ギリシャから出た火はたちまち欧州を火の海にし、ついにはイタリアが国際通貨基金(IMF)の監視の下に置かれることになった。イタリアの政府債務の国内総生産(GDP)比率は119%、ギリシャは143%である。経済規模が違うのでもちろんイタリアの影響のほうが大きい。

 ここで目をそらさずに見なければならないのは、日本の財政事情である。国の借金は2011年度末で1024兆1047億円、ついに1千兆円をこえてしまったのである。これをGDP比でみるとなんと220%に達しているのである。冷静に考えれば、G20の場で日本の首相が何も言わないでいることのほうが異常だ。円高阻止のために8兆円ともいわれる円売りドル買いに介入したことについて国際社会の目は厳しい。日本がやるべきことは為替相場への介入ではなく、きちんとした財政再建ではないかと見ているのだ。財政状態だけを考えれば、イタリアより先に日本がIMFの監視下に置かれてもおかしくないのである。ねじれた国会情勢や与党内の反対論等を考えると、ふたつの重要な課題での決断の意味は重い。

 ところが野党側の反応はきわめて狭量である。「政権を取った衆院選マニフェストは、消費税は増やさない前提だった」(谷垣禎一自民党総裁)「決定の前に国民に信を問うのが筋」(山口那津男公明党代表)などと批判している。決断の前に信を問え、と自民党も主張する。一見、至極当然のようにみえるが、消費税を引き上げますよ、といって解散総選挙を行えば、与党が勝つはずがない。自民党などは政権奪還を目指しているのだろうが、それでは消費税増税はいつになってもできないし、財政規律をただす道は閉ざされたままになる。それでいいのか。いま大事なことはいかに必要なことをきちんとやるかであり、党利党略ではない。国民がいやがることをやらずにこの危機を乗り越える道などあるはずがない。大衆迎合主義(ポピュリズム)からの脱却こそ、政治家がいま心すべきことなのである。

 TPPをめぐる論争も非建設的な対立感情をあおるだけで不幸である。「推進」と「絶対反対」の両極端の議論が主流で、中間の議論がないところが、原子力発電問題とよく似ている。農業問題ばかりが議論の軸になっているが、24あるといわれる分野ごとに問題は多く、参加する場合は日本の利益をどう確保するかの検討が必要だが、入り口の議論でストップした状態なので進まない。米国は来年の大統領選を控え、いかに米国製品の輸出を増やし、国内の雇用を確保するかの観点から、参加国の非関税障壁撤廃を目論んでいる。それぞれが自国の利益をかけて交渉に臨むのだから、交渉を始める前に被害者意識にとらわれるのも問題だ。殻に閉じこもって国益が守れるような時代ではない。いかにしてグローバル化をすすめるかなのである。一刻も早く参加を前提にしていかにのぞむかの議論をはじめるべきだと思うが、政治は「選挙での票」を人質にとられ動きがとれないというありさまだ。

 メディアの反応もまたはっきりと二分されている。全国紙や東京のテレビ局はおおむね「推進」。地方のメディアはほぼ「反対」と大きく分かれている。日本が参加するならコメをはじめとした農業にどう対応すべきかを「推進派」も考え、逆に「反対派」は参加を見送って、これから先、日本が国際社会でどう生きて行くべきかを考える。そういうクロスした議論を戦わせて初めて建設的な結論につながると思う。

 G20の記念撮影の際、野田首相は2列目の端から2人目のあまり目立たぬところに立った。韓国大統領が最前列だったのでいささか気にはなったが、控え目なのも悪くないかもしれない。国際社会がどう見るか、国民がどう反応するか、最近の政治家はそればかりを気にしすぎる。欧州危機をきっかけにいまどの国でも問われているのは実は統治能力を欠いた「政治」そのものなのである。

(政治ジャーナリスト)

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