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辞めない菅首相

2011/06/20

「脱原発で解散」説も

 珍しい総理大臣である。佐藤栄作首相から菅直人首相まで23人の首相を取材してきたが、辞意を口にしてから居座った首相はいない。急速に求心力が落ちるし、政治の流れが後継者選びに向かうからだ。ところが菅首相、辞意(本心ではなかったかも)を口にしてから20日近くたつのに、辞めそうな気配がない。それどころか苦虫をかみつぶす民主党幹部らを尻目に一人大はしゃぎなのである。「しぶといね」があいさつ代わりの言葉になっている永田町で、「菅首相は脱原発で国民に信を問う気ではないか」と解散説まで飛び出した。

 菅政権を支えてきた岡田幹事長、玄葉政調会長、安住国対委員長らは、いつまでも辞めない首相に辞表を叩き付けかねない状況だ。もはや首相の味方は国民新党の亀井静香代表ぐらいしかいない。それでも臆することなく毎日のように指示を連発している。第二次補正予算案の提出まで、とみられていたが、国会を90日程度大幅延長し、その成立を見届ける。そればかりか秋口になるとみられる10兆円規模の第三次補正予算まで自分の手でという構えだ。

 一時は6月中に退陣という見方が有力だったが、いまや7月どころか8月、いややはり来年ではないかという見方も出てきた。そこで浮かんでいるのが、「原発さよなら」宣言。オバマ米大統領の核兵器絶滅プラハ宣言の向こうをはって8月の広島、長崎の慰霊式典で世界に向かって宣言するのではないかというのである。脱原発を宣言しても、実現は10年以上先のことになるので、在任中責任を問われることはない。むしろ、脱原発で世論を動かし、それを争点にして解散・総選挙に打って出る、などということも意表を突くことでここまできた菅首相ならやりかねない。

 内閣不信任決議案否決後、政界の雰囲気はかなり変わってきた。民主党は後継レースの動きが始まったが、固有名詞が浮かぶたびに、世論は知名度の低さに菅首相のほうがまだましでは、という空気が広がった。一方で辞任しなければ協力できないという自民党など野党へも必ずしも国民の支持は集まらなかった。世論は「なぜ政治は協力して被災地復旧、原発対策に当たらないのか」と与野党の区別なしに厳しく見ているのだ。

 「菅首相には常識が通用しない」と首相に比較的近い民主党幹部でさえそう語る。菅直人という人の政治活動の歴史を振り返れば、他のどの政治家とも異なる道を歩いてきていることがわかる。婦人有権者同盟の市川房枝参議院議員の選挙運動から始まり市民運動を軸にほとんど一匹狼で行動してきた。したがって政治の流れの読みと、身の処し方は他の追随を許さない。一匹狼だから心を許せる政治家もいないが、状況に応じてつき合う政治家を変えて行く。

 市民運動家に“先祖帰り”した菅首相は、有権者、とりわけ女性は原発を止めて経済に悪影響を及ぼすという判断よりも、原発の危険性への不安のほうがはるかに大きいと読んでいるだろう。したがって「脱原発」を宣言すれば世界的に大きな話題になるばかりでなく、選挙の大きなテーマになると考えても不思議はない。郵政民営化という一つのテーマだけで衆議院を解散し、大勝した小泉純一郎首相の手法と同じことである。菅首相が「被災地で総選挙の実施が可能になるのはいつか」と調べさせたという情報もある。

 ほとんどの政治家は自分自身のことを「地位に恋々としない人間」と思っている。客観的に見てそう見えない政治家でもそうだ。おそらく菅首相もそうだろう。世間が「延命」と見なしても、本人は「自分がやらなければならない。自分しかできない」と考えていると思う。自分を客観視しないタイプの人たちを政治家というのである。
  菅首相は「辞意(?)」表明の代議士会で「愛媛県の53番札所からお遍路を続けるという約束も残っているが、震災や原発事故に一定のメドがつくまで責任を果たさせていただきたい」と述べた。この発言が「早期に退陣してお遍路を続ける」と受け取られたが、いまでは再開最初の54番札所が今治市の「延命寺」だということがわかって、やはり「もともと辞める気などなかったのか」と受けとめられている。

 菅首相は辞任時期ばかり質問されることを嫌って毎日の首相番記者の「ぶらさがり取材」にこのところ応じていない。その半面、これはと思うところには積極的に顔を出す。そのつかいわけが絶妙だ。「10年は続けてほしい」とソフトバンクの孫正義氏にいわれ、顔をくちゃくちゃにしながら笑顔を浮かべる首相。大地震、大津波、原発事故に続いて政治が第四の災害といわれる理由の大半はこの人にあるはずだが、当人には馬耳東風なのだろう。

 (政治ジャーナリスト、日本経済新聞客員コラムニスト)

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