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電力の行方

2011/04/17

脱原発か依存強めるか

 「チェルノブイリ」は草の名前、「スリーマイル島」は文字通り3マイルの島。いずれも狭い地域の名である。「フクシマという県名がついているばかりに、福島県全部が危ないように世界中に思われてしまった」というつぶやきを聞いた。原子力発電所の事故は、新たな大災害を引き起こさないよう抑え込むことができるのか。そして「フクシマ」以降のわが国の電力は、脱原発なのか、それとも原発依存をより強めるのか。この決断は、日本という国家と社会の将来を決定づけることになる。

  「想定外」と政府、東京電力の関係者は、あれほどの巨大な津波は考えられなかったと言う。だから「非常用電源が破壊されることなどありえない」としてきた。「プリペア・フォア・ザ・ワースト(最悪に備えよ)」が危機管理の要諦だとすれば、想定外とはどういうことなのか。現に原発関係の裁判では、大津波による事故の可能性が何度も指摘されているのである。「日本の原子力発電のレベルは世界でもトップクラス。地震国ゆえに地震対策は万全である」という根拠のない神話のような話を、われわれ日本人は信じ込まされてきた。近年、原発の売り込みで日本経済の活性化を図ろうというところまで来ていた。民主党政権の目玉政策であり、新幹線と並ぶ「インフラ輸出」であった。

  今回の原発事故は、初めからどこか政府、東電の対応に妙なことが続いた。政府、何よりも東電は1号機から4号機までの原子炉をなんとか維持したい、すなわち廃炉にしたくなかったのではないか。そのために放水による冷却に少しの間ためらいがみられ、それが結果として事態を悪化させることにつながったと見る専門家は少なくない。危機に臨んで注意すべきは手を打つのが遅れ、いたずらにこじらせてしまうことだ。チェルノブイリと並ぶ「レベル・セブン」に格上げしたことでさまざまな反響を招いている。国内では「もっと早く決断すべきだった」という意見が多いように思うが、海外の見方はいささか違って、「レベル・シックスにすべきなのに政治的な責任逃れのために格上げしたのではないか」という受けとめ方もある。

  原発事故の解析にはかなりの時間を要するだろう。今回の事故は世界に反原発運動を後押しする結果になると思われる。国内でも脱原発を主張する人々が増えるだろう。原発から太陽光発電や風力発電など自然エネルギーへの転換を叫ぶ声が大きくなっているが、原発の穴を埋めるにはコストと時間がかかりすぎ現実的ではない。生活レベルを下げ、かつ産業への影響を甘受できるかどうかである。世界は日本の事故の解明と今後の対応を注視している。計画の一時停止を表明したのは中国、スイス、メキシコ、イタリア、イスラエルなど。原発大国のフランスのほかロシア、ブラジルなどは推進の姿勢。一方で推進派の米国では点検強化や基準の見直しの議論が起こりそうだ。日本はどうするのか。菅首相は「原発の安全性を追求し、同時に他の自然エネルギーの利用を推し進める」としか述べていない。もっとも重要なことについて、あえて明言を避けているのだ。しかし、これを決められなければ国家の運営などできるはずがない。原発依存を脱却して、いかにして日本が国際公約にしている二酸化炭素25%削減を達成できるのか。原発事故があったので、公約は取り消します、とでも宣言するのだろうか。そんなことになれば、国際社会が日本を相手にしなくなるだけだ。

  東京電力にものを言いたい人は日本中にたくさんいるだろう。まず、過去にも原発のデータを改ざん、隠蔽(いんぺい)したりしてきた。今回も大事なことを隠しているのではないかと疑う向きは少なくないだろう。今回の事故による避難民や農漁民らへの賠償金はおそらく2兆円を超す規模になると思われる。決して出し惜しみはすべきでない。思い切ったな、という印象がなければ、世間は東電を許さないだろう。福島県民に済まないという気持ちがあるなら、人間が住んでも安全ですよ、ということを天下に示すために、本店(本社)を福島へ移したらどうか。

  最後に、計画停電はやめてもらいたい。計画停電という名の「無計画停電」がどれだけ日本の産業空洞化を招き、景気の落ち込みにつながるかを考えるべきだ。それよりも節電の割り当てと、民間の大口発電による電力がうまく使えるよう送電に協力すべきではないか。長い間、株式市場では「東京電力」の株は安定株の代名詞のようだった。金融機関をはじめ、いたるところで株価下落の被害が出ていることだろう。「想定外」が無意味だったように、絶対などというものもないのだ。

(政治ジャーナリスト、日本経済新聞客員コラムニスト)

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