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都知事選

2011/03/07

1カ月前、依然視界ゼロ

 4月10日投票の統一地方選(前半)まで1カ月ちょっとに迫っているのに最大の目玉である東京都知事選は依然、視界不良のままである。石原慎太郎知事はどうやら不出馬のようだが、石原氏の去就を注視していた民主党も、また石原氏4選出馬に期待をかけていた自民党も態度を決めかねている。地方自治体の選挙では政党色の濃い候補者が苦杯をなめるという傾向が強まっているだけに、果たしてどういう顔ぶれになるのか。

  告示は今月24日。石原知事は11日に正式に不出馬を表明するものと見られる。これまで表明している小池晃共産党元参院議員、渡辺美樹前ワタミ会長、松沢成文神奈川県知事らに続いてうわさされている人たちが次々と名乗りをあげることになるだろう。おそらく東国原英夫前宮崎県知事らも表明することになろう。問題は与党民主党がどうするかだ。元民主党衆議院議員の松沢神奈川県知事を推薦する可能性は極めて小さい。松沢氏は石原都政の継承者と見られているからだ。民主党内部で当選の可能性がもっとも高いといわれてきたのが蓮舫行政刷新担当相。ただし民主党に逆風が吹く現状での出馬に消極的ともいわれている。東京は菅直人首相のお膝元だけに、政権与党として「自由投票」というわけには行くまい。都知事に当選するにはこれまでの例からみて200万票獲得できる候補者でなければならない。最高獲得票は1971年の美濃部亮吉氏で秦野章氏らを相手に361万票も獲得した。続くのが2003年の石原慎太郎氏の2選目で308万票だった。200万票を超えても落選した例もある。美濃部知事の3選目に挑戦した石原氏は233万票獲得したが、およそ35万票足りずに敗北した。

  東京都知事選には個人的な思い出がある。私がかかわった結果、少しばかり日本の政治の流れが変わってしまったかもしれないのである。1979年の2月の中旬ごろだったと思う。前の年の12月に就任したばかりの大平正芳首相に呼び出された。駆け出しの政治記者がときの総理に呼ばれることなどあり得ない。秘書官からの連絡で国会内で大平首相に会った。たしか自民党の幹事長室だったと思う。少し前まで幹事長だったので、使いやすかったのだろう。大平さんは「おー来たか。すまんな呼び出して。ひとつたのみがあるんじゃ」。「君はたしか鈴木俊一さんと親しかったな。鈴木さんのところへ行って、伝えてきてほしいことがある」「鈴木さんはぼくの高校の旧制中学時代の先輩で、大阪の万国博覧会の事務総長、ぼくは万博担当記者という関係で親しくさせていただいています」「そうか、たのむ。いまから言うことを覚えてくれ」「間違うといけませんのでメモを取っていいですか」「それはだめだ。紙はあとに残る。短いから覚えてくれ」。

  伝言の内容は「東京都知事選に自民党推薦候補としてご出馬願えないか」というものだった。何度も心の中で繰り返しながら杉並区永福町の鈴木邸を訪れた。いつも淡々としていて心から尊敬できる人だった。初代自治省事務次官だった鈴木さんは都の副知事もしていたし、東京都知事になることが子供のころからの夢だということも知っていた。さぞかし喜んでくれる、という私の思いははずれた。鈴木さんは困ったような顔をした。「総理にはどうお伝えすればよろしいでしょうか」「お話は受け賜りました。相談しなければならない人たちがおりますので、のちほどお返事いたします、とお伝えください」。相談しなければならない人たちというのは、あとでわかったことだが、公明党の人たちだった。公明党が政治活動を始めたのは東京都議会で公明政治連盟と称していたが、そのころ鈴木さんは東京都副知事だったのである。

  鈴木さんは見事当選し、4選16年間知事を務めた。4選目には自民党小沢一郎幹事長はNHK報道局長の磯村尚徳氏を担ぎ、東京都連は鈴木さんを担ぐという分裂選挙になった。80歳の鈴木さんは真っ向法で鍛えた身体でがんばり磯村氏に勝った。この責任を取って小沢氏は幹事長を辞任、その後、自民党を集団で離党する。鈴木知事が存在していなければ、小沢さんが自民党を離れることもなかったかもしれない、という連想ゲームのようなものだが、これまで口外したことのない小さな政治史の一コマである。

  山間部をのぞいて一人当たりの公園の緑の面積でいうと、東京は全国一なのだそうである。東京は生き物のようにめまぐるしく変化を遂げている。覇気のない地方のエネルギーを東京がすべて吸収してしまっているかのようだ。その東京のリーダーがだれになるのかは、どの地方にとっても無関心でいられない問題だ。

(政治ジャーナリスト、日本経済新聞客員コラムニスト)

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