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5月

2010/05/03

「国家の命運」かかる時

 どんなに混迷した政局でも、最後は「常識」の線に落ち着くものだ、というのが、政治を40年見続けてきた筆者の経験則である。普天間基地移設問題で迷走する鳩山首相と、検察審査会に「起訴相当」と議決された小沢幹事長のコンビで参院選に臨むなら、民主党の大敗は避けられない。とすれば、参院選前に、鳩山、小沢両氏のいずれか、あるいは2人とも退陣、というのがこれまでの常識が指し示す方向である。2人が出処進退でどのような決断をするかで、党と己の政治生命のいずれを重視しているかがわかる。

  従来、首相が政治的に行動するときは、周辺が十分な根回しをすすめ、絶対にうまく行きときだけ動くというのがいわば「常識」であった。4日に沖縄入りする鳩山首相は、「国外、もしくは最低でも県外」と移設先について明言してきた自分が、再び沖縄県内に戻すということをどのような形で県民に説明するのだろうか。沖縄県知事も名護市長も、そしてまた千人規模で米海兵隊を移そうと考えている徳之島も、受け入れるとはとても思えない。

  いわば成算なくして現地へ飛び込むのである。その覚悟やよしといいたいところだが、行き当たりばったりのやり方のこういう人物に安全保障を委ねていいのだろうかという危うさを感じる。徳之島の実力者といわれる徳田虎雄氏に会って、土下座すればうまく行くと首相は思い込んでいたらしい。だれがそのようなアドバイスをしたのかわからぬが、米政府の真意についても、あやふやな情報に振り回されてきたようなところがある。

  沖縄に乗り込んで事態の打開がいささかでも図れるかどうか。その可能性は限りなくゼロに近い。もしうまく行ったとしても、米国を説得できるのかどうか、それができたとしても、「国外」にこだわる社民党との関係をどうするのか。先行きは絶望的としか思えない。自ら期限を区切った「5月末」が内閣総辞職の時期になる公算大である。民主党の大物議員らは5月末の日程をすべて白紙にしていることが、その可能性の大きさを示している。

  小沢幹事長の続投を鳩山首相は支持した。それはそうだろう。小沢氏と一蓮托生(いちれんたくしょう)なのである。小沢氏が仮に幹事長を辞めれば、参院選の指揮をとる人物がいなくなるばかりか、火の手は首相の身にも迫ってくる。だれが小沢氏を幹事長にしたのかという任命責任と、同じような政治とカネの問題があるではないかという批判が民主党内部からも出かねない。何よりも参院選の候補者たちがこのままでは戦えないと声をあげるだろう。

  共同通信の世論調査で示された内閣支持率20%という水準は、自民党政権時代と比較してみると、参院選で敗北した安倍政権、総選挙で政権を失った麻生政権よりも低いのである。参院選は世論調査の水準が比較的そのまま議席数に反映することが多い。当初、単独での過半数確保をもくろんでいた民主党の惨敗は避けられないことになる。

  それにしても、何のための政権交代だったのか。そう痛感しているのは民主党に期待を寄せて一票を投じた有権者なのではないか。政権交代そのものは、意味があった。政権というものは投票行動によって交代させることができるのだということを確認しただけでも大きな意味があった。これですべてを帳消しにしないためには何が必要か。それはどうすれば選挙対策として得になるか、などと考えるのではなく、没落寸前のこの国をどうすれば救えるのかということを真剣に考えることである。

  借金の総額はこのまま手をこまねいていれば1千兆円に達する。ギリシャやスペインどころの騒ぎではない。GDP(国内総生産)は中国に抜かれるどころか、あっという間にベストテンからも弾き飛ばされるだろう。地方は夢も活力も失いかけているところが多い。地元の高校生が地元で就職できない、という地域がたくさんある。政治に多くを期待しても裏切られるばかりだと考える人も少なくないだろうが、政治が不安定で信頼感を失い、かつ指導者が指導力と自信を失いかけていては、国家運営などできるはずがない。

  ことしに限って言えば、風薫る5月は、政治的に極めて血生臭い月になりそうだ。わが国が、いくらかましな方へ向かっているのかどうかを占う大事な時間なのである。それはいずれの政党が参院選で勝利するかだとか、ポスト鳩山がだれになるのかなどという矮小(わいしょう)な話でなく、日本という国家の命運をかけるようなことなのである。

(政治ジャーナリスト、日本経済新聞客員コラムニスト)

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