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普天間

2010/04/18

首相が政局課題にした

 40年近く日本の政治を観察してきたジャーナリストとしての「職人の勘」のようなもので先を見通すと、鳩山政権は5月末で終わるように見える。ただし歴史的政権交代の結果誕生した鳩山政権には、過去の常識が通用しないような側面も少なくない。政治とカネの問題でさえも、だれも辞めていないのである。

 それにしても鳩山由紀夫という政治家はわからない。この期に及んでも普天間の移設先は「5月末までに決着させる」と言い切る。周りが配慮して、何とか退陣などに追い込まれないように姿勢を変えようとしても、鳩山氏自身が元に戻してしまうのである。日米関係は想像以上に深刻である。鳩山氏が首相に就任して丸7カ月、まだ一度もホワイトハウスでの日米首脳会談が行われていない。これ自体が異常なことである。例年は5月の大型連休に訪米というケースが多いが、ことしの連休はどこへも出かけず日本にいるようだ。

 ワシントンポスト紙が核安保サミットで公式の首脳会談を行えなかった鳩山首相を「間違いなく最大の敗者」と下品な記事でこきおろした。だからどうというわけではないが、米国全体に日本をからかうような風潮が生まれていることを危惧(きぐ)する。日本国内でも、2、3人集まれば「普天間どうなる?」「もうだめだろう」などという会話がいたるところで交わされている。これでは何のための政権交代だったのか。内閣支持率は危険水域といわれる30%を切る世論調査も出てきたが、自民党への期待感がさっぱりない状況でのこの数字は、やはり相当深刻である。

 普天間問題で鳩山首相が「私には腹案がある」と党首討論で大見えを切ったことがあった。そもそも「腹案」などというものは国会のような公の場で口にするべきものではないが、あそこまで自信たっぷりに言うので何か新しい内容のものがあるのだろうとだれもが思っただろう。関係閣僚の一人にぶつけてみた。「オレは知らんけど何もないんじゃないか」とつれない返事だった。

 首相は自分の発言がどういう影響をもたらすかとか、過去の発言との整合性とか、そういうことにまったく頓着しない鷹揚(おうよう)な性格のようである。どうやら本気で「沖縄の人々も、米国も、また移設先の地元も納得できるような移設先を5月末までに決める」ことが可能だと考えているらしい。オバマ大統領に「米国も協力を」と要請したので何とかなると思ったのだろうか。米国は「単なる願望とかアイデアではなく、地元を説得して具体的な提案をしてほしい」とイライラしているのだが、気がついていないのだろうか。

 「5月末」という期限は首相自らが設定したものである。米国が求めたわけでもない。なぜ5月末なのか、と国会で問われて、首相は「そのことを決めた時期が昨年12月だったので半年後、と考えた」と述べ、さしたる意味がなかったことを明らかにしている。その結果、首相としての進退問題に発展しかねないところまで追い込まれているのだ。だからといってそのことを悔いている様子もないし、大いにプレッシャーを感じているふうでもない。

 首相官邸はほとんどチームワークがとれていないようだ。みなが首相が何を考えているかわからないとか、だれだれが悪いとか、責任転嫁に明け暮れているように見える。官邸ばかりではなく、それぞれの省でもきちんと統制がとれているところは極めて少ない。「政治主導」の実態はだれも意思決定ができずにただ漂流しているにすぎないのである。

 気の毒なのは裸の王様状態の鳩山首相である。だれも相談する人がいない。おまけにこうしようと思っても「党の意向」とやらでひっくり返されてしまう。鳩山氏自身、首相をめざしていたのなら、もう少し準備しておくべきだったが、いまは未熟さだけが目立つ。政界を引退したばかりの河野洋平前衆院議長は「鳩山さんも自民党の谷垣君も、相談相手がいない。それにいまのリーダークラスの人たちはワインでいえば、成熟していない。成熟しているかな、と思ったらみなボジョレーヌーボー(新酒)だったというようなものだ」と筆者に語った。

 民主党内部ではポスト鳩山をめぐる動きが出てきた。参議院選挙のあと9月には代表選挙があるが、それが前倒しになる公算も出てきたので動きはあわただしい。最大の実力者小沢幹事長が鳩山首相を見限った、などという流言飛語も飛ぶ。対抗するために首相は乾坤一擲(けんこんいってき)、衆参同時選挙に持ち込むのではないか、という話まで出ている。新党ブームもそれに重なって、政界は液状化しそうな気配である。

(政治ジャーナリスト、日本経済新聞客員コラムニスト)

※2010年5月から月2回掲載になります

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