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本当の姿

2008/06/17

「ねじれ」で見えてきた

  長かったのか短かったのか、いわゆるねじれ国会なるものが、事実上、終わった。選挙を意識した民主党の格好だけの対決姿勢と、支持率低下への感度がすっかり鈍った与党の徹底無視の態度。できの悪い芝居を見せられたような後味の悪さだけ残った。

 しかし、嘆いてばかりいても始まらないので、何かいいことはなかったのかと、考えてみる。いいことはあった。いままでわからなかったことがいろいろとわかってきた。まず、与党も野党も、あるいはテレビのワイドショーなども、「国民」という言葉をよく口にするが、あれは「私たちには責任はありません」といっているだけで、ほんとうの国民とは何の関係もないこと、すなわち国民のことなどだれも考えていないのだということがわかった。

 「大変だ、大変だ」と政治家がさわいでも、そう大したことにならないということもわかった。日銀総裁が空席などという事態になれば、この国は国際社会での信用を完全に失ってしまう、はずではなかったか。八日間ほど空席だったが、大して何も起こらなかった。国際社会の信用は、空席になる以前に、どうやら失っていたらしい。

 ガソリン価格もいったん下がってから、どんと上がり、食料品から原材料、公共料金、軒並み上がった。隣の国では六十万人デモが伝えられるのに、わが日本ではデモひとつ起こらない。バターがスーパーから一時、消えたぐらいで、朝食のパンが一回り小さくなっても、納豆の豆の量が減ってもまあ、こんなものだろうと「おり込み済み」だ。

 日本人は「自分を棚に上げる」のが実に上手だということもわかった。

  「後期高齢者医療制度」。「戦後の日本を築いてきたお年寄りを見殺しにするのか」「なぜ、七十五歳なのか」などと野党は追及し、廃止法案まで出した。「よくいうよ」と思っている人も少なくないはずだ。老人保健制度は悪い、それに変わる制度が必要だと、付帯決議をしたのは、どこの政党だったか。現役の負担増を食い止めなければ大変なことになると七十五歳以上に、負担を求めるのはやむを得ないといっていた労組はなかったのか。

 マスコミは二年前にこの制度ができるとき、どう主張したのか口をつぐんでいる。ほとんどの新聞が社説などで賛成したり、その意義をたたえたりしたのではなかったか。新聞の中にはにもかかわらず、元の制度に戻せと主張しているところもある。この制度は決して悪くない、などといいながら沖縄県議選敗北などで動揺し、見直しを口にし始めた与党。

 元に戻しても、見直しても何千億円もの金がかかる話だ。その財源をどうするのか。あやしげな推計の数字を出して釈明しようとする政府に人々は耳を貸さなくなっている。「これでは国民は納得しない」と叫び続けるニュースショー。悪いのは自分以外で自分は間違っていない、という非難合戦でいたずらに時間だけが過ぎて行く。

 「史上初」、いわば日本新記録みたいなことがいくつかあったが、だからといってどうということもなかった。野党が放った大きな花火が参議院での「福田首相問責決議」。いつ上がるのかと気にしていたが、そのうち、もう上げないらしい、と思われていた。「党首討論をやりたくないからか」などという勘ぐりはやめるとしても、どこか花火は湿っていて前評判ほどではなかった。

 事前に必要な法案は成立させておいて、すなわち家の中の壊れそうなものは片づけておいてから、おもむろに派手な夫婦ゲンカしたようなものだった。それに対抗する与党の衆議院での「福田内閣信任決議」。日本政治得意の「歌舞伎プレー」で、様式美などというが少しも美しくない。

 洞爺湖サミットを前にして、与野党の顔見世興行は幕となったが、客の入りも評判もよろしくない。石油など原材料の価格上昇分だけで、年間十兆円を超すといわれるような危機的な経済状況で、国会からはそうした論議があまり聞こえてこない。ロシアの大統領が代わり、米国の大統領選挙もいよいよ本選挙に入る。北朝鮮をめぐる状況も変化が予想される。

 政治家の先生方は、地球儀を見るのがお嫌いらしい。次の総選挙で自分が当選できるのかどうか、もしくは政権争奪だけが関心事だ。日本政治の水準のあまりの低さを実感できたことが、ねじれ国会の最大の収穫ではなかったか。

  (早稲田大学大学院教授、日本経済新聞客員コラムニスト)

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